週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比0.09ドル安の23.06ドル、ブレント原油は0.08ドル高の26.45ドルとなった。

 前週19日の海外原油は、主要国の中央銀行がほぼ全力の金融緩和を実施したこともあり、これまでの暴落の反動から買い戻される展開となった。またトランプ大統領がサウジに産油量の削減を求めることを検討しているとの報も支援要因となった。しかし20日には各国で外出禁止令が出されるなど景気先行き懸念が強まり、株安につられ軟調な動きであった。

 先週は、各国の金融緩和や米国の経済対策により株価とともに原油価格も下げ止まったが、引き続き需要減少が意識され上値は重い展開となった。週明け23日は反発。米国がサウジに特使を派遣し、価格戦争に介入しようとしていることから、先週までの売りも一巡し、買い戻し優勢の展開となった。24日は続伸。米国の2兆ドル規模の経済対策への期待感から株式が大幅反発しており、同じくリスク資産である原油にも買いが入った。しかし、引き続きエネルギー需要が減少するとの見方や、サウジとロシアが増産方針を示していることから上値は重かった。25日は続伸。米国の経済対策法案が成立する見通しとなったことが相場を押し上げた。EIA週報では石油製品需要が前週比207.7万B減少となり、外出自粛などによる需要減が鮮明となった。26日は反落。米国の新型肺炎の総感染者数が6万8440人とスペインを上回った。感染を抑制するための封鎖により世界中では36億人が影響を受けており、IEAは原油需要が20%減少する可能性があると指摘した。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。