OPECから日量140万バレル以上の原油生産量が戻ってくる!?

著者:吉田 哲
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原油反落。主要株価指数の反落などで。20.41ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,645.10ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年09月限は9,475元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年06月限は252.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで920.4ドル(前日比7.9ドル拡大)、円建てで3,115円(前日比6円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(3月30日 19時35分頃 先限)
 5,585円/g 白金 2,470円/g 原油 23,670円/kl
ゴム 144.8円/kg とうもろこし 22,980円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「OPECから日量140万バレル以上の原油生産量が戻ってくる!?」

前回は「米シェールの地区別の生産効率に注目」として、生産効率である“質”について、主要地区7地区の違いについて書きました。

今回は「4月1日以降、OPECから日量140万バレル以上の原油生産量が戻ってくる!?」として、協調減産が終了した後、どれだけOPECが増産をするのかについて考察します。

OPECプラスの協調減産は3月31日(火)で終了します。2017年1月に始まり、4年3カ月間行われた減産はいよいよ終わりを迎えます。

現在の減産のルールは、原則、2018年10月を基準に行われていましたので、単純に、減産の基準月まで生産量が戻ったとすると、以下のグラフの通り、2020年2月比で日量およそ140万バレル、増加する計算です。

また、2018年10月のサウジの原油生産量は日量1063万バレルで、2020年2月は日量968万バレルでした。

生産量を基準月の量まで戻すだけで、およそ日量90万バレル以上増加します。

これに加えて、サウジは単体で日量1200万バレルまで生産量を増加させるとしています。

これは基準月よりも日量130万バレル以上の多い水準です。

仮にOPEC全体が基準月まで生産量を戻し、かつサウジが目標値まで生産量を増やした場合、OPEC全体で日量270万バレル増加する計算です。

現在のOPEC13カ国の生産量がおよそ1割増加する可能性があるわけです。

新型コロナウイルスの影響で、消費減少、在庫増加の懸念が生じている中、このような大規模な生産増加が予想されるとなると、原油相場は目先、なかなか上値を追うことが難しいかもしれません。

図:減産に参加するOPEC10カ国合計の原油生産量 単位:百万バレル/日量
減産に参加するOPEC10カ国合計の原油生産量

出所:OPECのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。