トランプ氏、実はサウジ・ロシアの大増産を容認!?

著者:吉田 哲
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原油反発。トランプ大統領の減産仲介発言などで。26.63ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,630.70ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年09月限は9,670元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年06月限は283.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで908.7ドル(前日比1ドル拡大)、円建てで3,145円(前日比50円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(4月3日 19時3分頃 先限)
 5,601円/g 白金 2,456円/g 原油 24,640円/kl
ゴム 145.6円/kg とうもろこし 22,940円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「トランプ氏、実はサウジ・ロシアの大増産を容認!?」

前回は「米国の原油在庫、記録的な増加の背景」として、先週急増した米国の原油在庫について、製油所への原油の投入量の面から考察しました。

今回は「トランプ氏、実はサウジ・ロシアの大増産を容認!?」として、昨日、トランプ大統領がツイートした日量1000万バレルの供給削減の仲介について、現段階の筆者の考えを述べます。

昨晩の原油に関わるトランプ大統領のツイートは、①プーチン大統領と話をしたサウジのムハンマド皇太子と話をした。②サウジとロシアがおよそ日量1000万バレル生産量を削減することを、期待し、望む。③もし1000万バレルの削減実現すれば、石油・ガス産業にとって素晴らしいことになるだろう、という内容でした。

この内容から、トランプ大統領はプーチン大統領と直接話をしていないことがわかります。

また、肝心の削減量ですが。報道では1500万バレルという数字がありましたが、ツイートでは1000万バレルのみです。

3者が会談したわけではないこと、量が不明瞭であることなど、実現性が乏しそうに見えますが、実現性が乏しいと感じる最も大きな理由は1000万という規模です。

サウジとロシアの原油生産量は、EIA(米エネルギー省)によれば、2月、合計で日量2118万バレルでした。つまり、ここから日量1000万バレルを削減することは、それぞれ生産量を2月に比べてほぼ半減(47%減)させることになります。

このことは、今月に入って増産が4年4カ月ぶりに可能になったサウジとロシアにとっては、非常にハードルが高いと思われます。

ただ、あえて、現実的に起こり得ると考えれば、それは、サウジとロシアが大増産をした後に、削減をする場合です。

トランプ大統領は、サウジとロシアが大増産をすることを容認しているので、日量1000万バレルの削減を期待していると発言できるのだと、筆者は考えています。

図:サウジ・ロシアおよび旧OPECプラス(23カ国)の原油生産量
単位:百万バレル/日量
サウジ・ロシアおよび旧OPECプラス(23カ国)の原油生産量

出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。