週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比1.06ドル高の24.12ドル、ブレント原油は2.25ドル高の28.70ドルとなった。

 前週27日の海外原油マーケットは続落。新型コロナウイルスによる世界経済の冷え込みに伴う需要減退への警戒感から売りが止まらなかった。2兆ドル規模の米景気対策法案の可決や、G20の声明で世界経済の悪化に対応するため5兆ドル以上の資金を投じると表明されたものの、NYダウも反落し、金融市場全体にリスクオフの動きが強まった。

 週明け30日も下落、石油の需要見通しが一段と悪化しており売りが続いた。一方、トランプ米大統領とプーチン露大統領が電話協議で原油市場の安定に向けた閣僚級会合の開催で合意したと伝えられたことが支援要因となり、翌31日にかけては買い戻しが入った。ただし、需要の先行き及び協議の行方に楽観的な見方は出来ず、上げ幅を縮小する動きとなった。1日は反落。EIA在庫統計では、原油やガソリンの大幅増加が示された。外出自粛・制限でガソリン需要が落ち込んでおり、在庫が積み上がっている。とくに原油は+1380万B(予想:+400万B)となり、製油所稼働率の低下が顕著に表れた格好だ。2日は一転、大幅反発となる。サウジアラビアのムハンマド皇太子と電話会談したトランプ米大統領は、会談後にツイッターで「サウジとロシアは(日量)約1000万バレルを削減すると私は予測、期待している」と投稿、主要産油国による減産合意への期待感から急速に値を飛ばした。またサウジ国営通信により、同国がOPECプラスの緊急会合開催を呼び掛け、産油量削減を協議する方針を示したことも押し上げ材料となった。
 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。