ついに来月からの米シェール減少が確実に!?②

著者:吉田 哲
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原油反発。主要株価指数の反発などで。26.52ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,692.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年09月限は10,125元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年06月限は300.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで952.65ドル(前日比1.25ドル拡大)、円建てで3,239円(前日比1円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(4月9日大引け 先限)
 5,777円/g 白金 2,538円/g 原油 25,570円/kl
ゴム 154.5円/kg とうもろこし 22,720円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「ついに来月からの米シェール減少が確実に!?②」

前回は「ついに来月からの米シェール減少が確実に!?①」として、一昨日EIA(米エネルギー省)が公表した、月次の短期見通しをもとに、米国の原油生産量の見通しをとりあげました。

今回は「ついに来月からの米シェール減少が確実に!?②」として、前回触れた米国全体の原油生産量の見通しをもとに、2020年の米シェール主要地区の原油生産量の見通しについて書きます。

以前の「米シェール主要地区の原油生産量は増加が鈍化」で書いた通り、米シェール主要地区の原油生産量は、米国全体の原油生産量のおよそ70%と筆者は考えています。

以下は、前回触れた3月公表と4月公表の米国全体の原油生産量の見通しに0.7を掛けた値をグラフ化したものです。

米シェール主要地区の原油生産量の見通しは、4月公表は3月公表に比べて大幅に下方修正されるとみられます。

3月公表は、年初と年末を比べると若干減少する程度と見込まれていましたが、4月公表は、年初から年末にかけて急減。

最も生産量が少なくなるとみられる10月時点では、3月の実績値よりも日量123万バレルも減少するとみられます。

原油相場の急落による米シェール業者の活動縮小が主な要因と見られますが、これに加えて、新型コロナウイルスの感染拡大による、米国および米国の輸出先の石油消費量の減少を意識した下方修正とも考えられます。

2017年1月から3年3カ月にわたり行われたOPECプラスの協調減産の効果を薄め続けた米シェールが、ようやく目立って減少し始める見通しが示されたわけです。

このことは、今晩行われる産油国の会合でも話題になり、産油国らの今後の方針を決定する重要な材料になるとみられます。

図:米シェール主要地区の原油生産量の見通し(EIAのデータをもとに筆者推計) 単位:百万バレル/日量
米シェール主要地区の原油生産量の見通し(EIAのデータをもとに筆者推計)

出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者推計

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。