米シェール主要地区の原油生産量は増加が鈍化

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。52.73ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,610.05ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年05月限は11,600元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年04月限は413.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで603.1ドル(前日終値比6.6ドル縮小)、円建てで2,122円(前日終値比24円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(2月19日 17時25分頃 先限)
 5,685円/g 白金 3,563円/g 原油 38,710円/kl
ゴム 186.2円/kg とうもろこし 24,210円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「米シェール主要地区の原油生産量は増加が鈍化」

前回は「OPEC・非OPECのリーダー達の減産への温度感を比較する」として、2017年1月の協調減産開始以降の、OPECプラスにおけるOPEC側のリーダー格であるサウジと、非OPEC側のリーダー格であるロシアの原油生産量の推移を確認しました。

今回は「米シェール主要地区の原油生産量は増加が鈍化」として、昨日(2月18日)、EIA(米エネルギー省)が公表した、米シェール主要地区における各種データから、同地区の原油生産量に注目します。

米国には、シェール主要地区が7つあります。以下のグラフの折れ線グラフは、7地区の原油生産量の合計の推移を示しています。

2020年1月は、日量914万5788バレルでした。これは統計史上最高です。

米国全体に占める7地区の原油生産量のシェアは同月時点で70.3%でした。昨年秋ごろから70%に達した後、過去最高水準で推移しています。

規模で言えば、大まかには“米シェールは世界No1の原油生産量を誇る米国の70%”と言えます。(米国全体の原油生産量については、以前の「米国の原油生産量、初の日量1300万バレル到達」で述べました)

また、減産を実施しているため生産量を増加させにくいサウジやロシアを大きく上回っています。

規模の面だけで言えば、以前として“米シェールはOPECの減産の効果を低下させる悪者”と言えます。

しかし、生産量の前月比を示す棒グラフのとおり、値がプラス圏にあり、生産量は増加はしているものの、その量が小さくなってきていることがわかります。

つまり、米シェール主要地区の原油生産量は増加傾向にあるものの、増加の伸びが鈍化しているわけです。

悪者に、やや陰りが見え始めていると言えます。

図:米シェール主要地区の原油生産量と前月比(7地区合計)
単位:百万バレル/日量
米シェール主要地区の原油生産量と前月比(7地区合計)

出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。