サウジ4月の原油生産量が同国史上最高でも、原油価格が上昇したわけ

著者:吉田 哲
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原油反落。主要株価指数の反落などで。24.14ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,702.80ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年09月限は10,335元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年06月限は243.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで918.35ドル(前日比6.25ドル縮小)、円建てで3,233円(前日比19円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(5月11日 18時49分頃 先限)
 5,865円/g 白金 2,632円/g 原油 23,460円/kl
ゴム 153.1円/kg とうもろこし 22,550円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「サウジ4月の原油生産量が同国史上最高でも、原油価格が上昇したわけ」

前回は「米国、原油消費回復か!?」として、今週、EIA(米エネルギー省)が公表した週間石油統計から、米国における製油所への原油の投入量について書きました。

今回は「サウジ4月の原油生産量が同国史上最高でも、原油価格が上昇したわけ」として、今月初めに、海外主要メディアが公表したサウジの4月の原油生産量について書きます。

海外主要メディアは、サウジの4月の原油生産量を、同国史上最高となる、日量1130万バレルだったとしました。

サウジは、4月、大増産をしたわけです。

しかし、この発表があった以降、原油相場は大幅上昇しました。なぜ、大増産の報道があっても、原油相場は大幅上昇したのでしょうか。

筆者は以下の3点がその理由に挙げられると考えています。

①大増産とはいえ、4月は減産実施期間ではなかったため、増産をとがめるムードが出にくかったため。

②OPECプラスが一時的に崩壊するきっかけとなった3月6日の会合直後に、サウジが宣言した大増産の目標である日量1230万バレルよりも、小規模だったため。

③過去2度、大増産(駆け込み増産)をした後に減産を実施したことがあり、今回の大増産が今後の減産実施の前兆と受け止められたため。

筆者は、上記の3つの理由の中で、②が、最も大きな理由だったのではないか、と考えています。

市場は、3月の大増産宣言が実現しなかったことを“予想よりも悪くなかった”と受け止め、最悪の事態が避けられたことに安堵したのだと思います。

また、サウジが大増産を行っても、市場は、過去に宣言された最悪の事態が回避されたことを重視し、前向きに評価していることから、上昇要因の“よいところ取り”をしている面もあると思います。

いよいよ5月から、本格的に減産が始まりました。サウジの原油生産量がどのように変化するのか、引き続き、同国の原油生産量のデータに注目したいと思います。

図:サウジの原油生産量 単位:百万バレル/日量
サウジの原油生産量

出所:海外主要メディアのデータより筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。