週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は先週比3.65ドル高の28.23ドル、ブレント原油は1.81ドル高の32.15ドルとなった。

 前週末の海外原油は反発。米雇用統計は戦後最悪の結果となったが、予想していたほど悪くなかったとの見方から米株式とともに堅調な展開となった。また原油掘削リグ数は292基(-33)と急減し、300基を割り込むのはリーマンショック以来である。

 週明け11日は反落。新型肺炎の抑制に成功した各国は都市封鎖などを緩め、経済活動を段階的に再開しているが、石油需要の回復には至らないため、過剰在庫がさらに積みあがる見通しである。12日は反発。OPECを中心とした産油国が7月以降も減産幅を維持する方向であることが手掛かりとなった。EIAの月報で米国の原油生産量の見通しが下方修正されたことも支援要因となった模様。13日は反落。パウエルFRB議長が景気回復には時間がかかると示したことからリスクオフとなり米株式、原油も売られる展開となった。EIA在庫統計では市場予想に反して-74.5万Bと減少となったが、買いは続かなかった。翌14日は急伸。IEAの月報で4-6月期の世界石油需要見通しを320万B引き上げ日量7930万Bとしたことや年後半に原油在庫の取り崩しが始まるとの見通しを示したことが相場を大きく押し上げた。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。