週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は先週比3.83ドル高の32.06ドル、ブレント原油は2.45ドル高の34.60ドルとなった。

 前週末の海外原油は、IEA月報において2020年の石油需要が従来予想ほど落ち込まない見通しが示されたほか、中国の鉱工業生産が前月比3.9%増と好調な内容だったことが支えとなり堅調な推移となった。また、リグ稼働数が34基減と減少傾向にあることも支援材料となった。

 先週は経済活動再開を受けた需要回復への期待感や在庫の減少などが好感され上げ幅を拡大すると、WTIで約2か月ぶりに30ドルを突破するなど底堅い展開が続いた。週明けは、米モデルナが開発中のワクチンが初期臨床試験において良好な結果を残したと伝わったことで株高推移したことが支えとなったほか、OPECを中心とした産油国の輸出量が大幅に減少していることも好感された。翌19日は引き続き需給改善への期待感が下支えとなったほか、ムシューシン米財務長官が一部経済支援策の延長を支持したことなどが好感され続伸した。ただし、前日までの上昇に対する利益確定売りや米株の反落などもあり上値からは上げ幅を削る展開となった。翌20日は、API統計で原油在庫が予想外に減少していたことが材料視され東京時間から堅調に推移すると、EIA統計でも2週連続で原油在庫の取り崩しが進んだことが好感され続伸した。ただし、製品在庫が増加していたことや、製品需要が前週比22.8万B減少と需要回復が一服したことが嫌気され戻りは売られる格好となった。翌21日も原油在庫の減少が材料視されたほか、石油需要の回復期待が支えとなり堅調な推移となった。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。