コロナが、米国を原油純輸出国にする!?

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。主要株価指数の反落などで。34.02ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,696.85ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年09月限は10,250元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年07月限は272.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで821.3ドル(前日比11ドル縮小)、円建てで3,044円(前日比8円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(5月27日 20時10分頃 先限)
 5,913円/g 白金 2,869円/g 原油 25,860円/kl
ゴム 154.3円/kg とうもろこし 22,240円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「コロナが、米国を原油純輸出国にする!?」

前回は「WTI原油先物、驚異の上昇率、95%超」として、このおよそ1カ月間の原油相場の上昇について、書きました。

今回は「コロナが、米国を原油純輸出国にする!?」として、5月26日(火)に、米エネルギー省(EIA)が公表した、月次レポートから、米国の原油の輸出量と輸入量について、書きます。

2019年11月29日、米国が70年ぶりに石油の純輸出国になったと、報じられました。

同年9月、米国の、原油と石油製品を合わせた輸出量が、輸入量を日量8万9000バレル、上回ったという内容です。

石油製品を含んだ“広い意味での石油”の純輸出国になったのであり、原油単体で、純輸出国になったわけではありませんでした。

以下のグラフは、1973年1月から、2020年4月までのおよそ47年間の、米国の原油輸出量と輸入量を示しています。

このおよそ47年間では、輸出量は輸入量を上回ったことはありません。

とはいえ、2020年4月は、原油輸入量が日量543万9000バレルと、1992年3月ごろの水準まで減少、原油輸出量は2015年1月の原油の輸出再開以降の、最高水準を維持しています。

2020年4月のネット輸出量(正味の輸出量 輸出量-輸入量)は、日量-217万バレルで(純輸入)、過去これよりもネット輸出量が大きかったのは、1985年2月の日量-188万バレルをはじめとした3回しかありません。

つまり、2020年4月は、このおよそ46年間で、4番目に、純輸出国に近い状態にあるわけです。

背景には、何が挙げられるのでしょうか?やはり、新型コロナウイルスの米国での感染拡大を受けた、消費減少だと思います。

米国の経済回復が、遅れれば遅れるほど、米国の原油輸入量が減少し、なおかつ、消費減少によるモノ余りを解消すべく、輸出量が増加すれば、数カ月後に、米国は原油輸出国になるかもしれません。

図:米国の原油輸入量と輸出量 単位:千バレル/日量
米国の原油輸入量と輸出量

出所:米エネルギー省(EIA)のデータより筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。