週刊石油展望

著者:三浦 良平
ブックマーク
 今週末のWTI原油は先週比3.83ドル高の32.06ドル、ブレント原油は2.45ドル高の34.60ドルとなった。

 先週末の海外原油は欧米が3連休を控えて戻り売り優勢となったほか、中国が今年の経済成長目標の公表を見送ったことで中国経済の先行き不透明感が強まり上値重い推移となった。

 今週は石油需要の回復期待やOPECプラスが7月以降も協調減産を継続したい意向を示していることが支えとなったものの、国家安全法案の制定やコロナ発生源を巡り米中の対立が深まっていることが嫌気されたほか、原油在庫の急増が重しとなり往って来いの展開となった。週明けは米国や英国が祝日で休場となる中で大きな動きは見られなかったものの、株式の上昇が支えとなったほか、先週末に下落した反動から押し目買いが入り堅調な推移となった。翌26日はコロナウィルス感染拡大に伴う規制措置の緩和で石油需要が回復していることや、ロシアの5月と6月の生産量は目標の日量850万Bに近い水準と報じられるなど、OPECプラスによる減産の履行が好感され堅調な推移となった。翌27日は、28日に国家安全法の採決を控える中でリスク回避の動きが強まると、ポンペオ米国務長官が一国二制度に基づく香港の高度な自治は維持されていないと表明し、これまで香港に認めてきた貿易等の優遇措置を解除する可能性を示唆したことが嫌気され反落した。週末にかけては、API統計において原油在庫が減少予想に反して870万B増加、製品在庫も予想を上回る増加幅だったことから時間外取引では急落した。ただし、売り一巡後は押し目買いに支えられると、EIA統計において製油所稼働率の上昇やガソリン需要の回復が示されたことが好感され、プラスサイドまで上昇する動きとなった。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。