週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比4.60ドル高の37.60ドル、ブレント原油は5.50ドル高の40.30ドルとなった。

 前週末の海外原油マーケットは、中国の国家安全法採決を受け、トランプ大統領が香港に認めてきた優遇措置を撤廃する手続きを開始すると表明したたが、米中貿易協議の第一段階の撤回など即時経済制裁を表明しなかったことで買い安心感が拡がり堅調な推移となった。

 先週は、9-10日開催予定であったOPECプラス会合が4日に前倒し開催見込み、また現行の減産幅をめぐる期間延長への合意見通し・思惑・期待が交錯する中で基本的には強基調な展開が続く。

 月初1日は、中国政府が米国からの大豆や豚肉の輸入を停止するよう求めたと伝わったことから米中通商合意第一弾の履行に不透明感が高まり横ばいとなったものの、下値は固かった印象だ。2日は1ドル超の上昇。経済活動再開による石油需要の回復見通しが好感されたほか、OPECプラスが7月以降も減産を延長するとの期待感も支えとなり堅調な推移となった。また、朝方発表のあったAPI統計では原油在庫が予想外に減少していたことを受け上値を伸ばす展開となっている。3日も続伸となる。引き続き石油需要回復への期待感や株高に支えられる形で上昇すると、ブレント原油では一時3月以来となる40ドルまで値を伸ばす展開となった。ただし、Bloombergが4日の会合開催は確実ではないと伝えるなど、4日のOPECプラスの会合開催に懐疑的な見方が出てきたことで戻りを売られると、上値からは上げ幅を削る展開となった。翌4日も小幅に続伸。ただし、OPECプラスは7月以降も現在の減産幅を継続する構えだが、一部産油国の減産順守率が不十分であるとの理由から最終合意を見送っており、様子見ムードが強まる中で小動きに留まった。

 そしてOPECプラス会合は、6日に開催される予定となっている。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。