チェサピーク・エナジー、連邦破産法11条の適用を申請

著者:吉田 哲
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原油反発。主要株価指数の反発などで。38.36ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,783.20ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年09月限は10,060元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年08月限は285.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで961.6ドル(前日比0.6ドル拡大)、円建てで3,320円(前日比12円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(6月29日 19時6分頃 先限)
 6,106円/g 白金 2,786円/g 原油 27,000円/kl
ゴム 153.7円/kg とうもろこし 22,300円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「チェサピーク・エナジー、連邦破産法11条の適用を申請」

今回は「チェサピーク・エナジー、連邦破産法11条の適用を申請」として、米シェール開発大手のチェサピーク・エナジーの破綻に関連し、米シェール主要地区の開発関連指標と原油価格の動向について書きます。

破綻の理由は、新型コロナの感染拡大による原油価格の下落と、報じられています。

年初はWTIベースで60ドル台でしたが、2月半ばから3月半ばにかけて起きた新型コロナショック(世界的な消費減少懸念が強まる)、3月上旬のOPECプラスの総会決裂(3月で減産停止が決定)、4月20日に起きたマイナス価格(米原油在庫の積み上がりが一因)、など、このおよそ半年間を振り返ってみれば、原油価格が下落した材料に、枚挙にいとまがありません。

確かに、このおよそ半年間、原油相場は荒れました。新型コロナという、年初には想像もつかなかった未曽有の禍に巻き込まれ、原油相場が急落し、その急落がシェール業者を破綻に追い込んだ、と想像できます。

ただ、実際のところ、以下のグラフのとおり、米シェール主要地区の開発関連指標、つまり、シェール開発業者が資金を投じて、掘削をしたり、仕上げ(掘削をした井戸に水と砂を少量の化学物質を注入する、原油生産を開始するための最終的な作業)をしたりした油井の数は、昨年の秋ごろから、減少し始めていました。

原油価格の急落が、開発指標の減少に拍車をかけた、と言えます。

以前の「政治と原油価格に翻弄されるノースダコタ州」で述べたとおり、米北部のノースダコタ州をメインとするシェール主要地区「バッケン地区」では、新規油田からの生産量が急減していますが、同地区で開発を手掛ける主要企業だったホワイティング社の破綻がきっかけと考えられます。

程度はどうあれ、今回のチェサピーク・エナジー社の破綻を機に、米シェール主要地区の原油生産量の減少が、加速する可能性があります。

図:米シェール主要地区の新規1油井あたりの原油生産量とWTI原油価格
米シェール主要地区の新規1油井あたりの原油生産量とWTI原油価格

出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。