OPEC10の原油生産量は、9年7カ月前の水準まで減少

著者:吉田 哲
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原油反発。主要株価指数の反発などで。40.11ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,784.80ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年09月限は10,375元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年08月限は298.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで943.6ドル(前日比1.9ドル縮小)、円建てで3,318円(前日比18円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(7月2日 20時7分頃 先限)
 6,141円/g 白金 2,823円/g 原油 28,230円/kl
ゴム 154.9円/kg とうもろこし 23,500円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「OPEC10の原油生産量は、9年7カ月前の水準まで減少」

前回は「もとい。OPEC側10カ国、6月は減産順守」として、昨日、海外主要メディアが公表した6月のOPEC側10カ国の原油生産量、そこから推計される減産順守率ついて書きました。

今回は「OPEC10の原油生産量は、9年7カ月前の水準まで減少」として、今週、海外メディアが公表した6月のOPEC加盟国の原油生産量から、減産に参加する10カ国の原油生産量の合計について書きます

5月までのデータについて触れた「OPECプラスはDoubt(ウソ)でCheat(ズル)なのか?」で書いた続編です。

OPEC内10カ国の原油生産量の合計は、2010年11月ぶり、およそ9年7カ月前の水準まで生産量が減少していることが分かります。

グラフの先端部分のオレンジの破線が、現在の減産における、5月から7月までの3カ月間の生産量の上限です。

6月の生産量はこの上限よりも、少なかった、つまり減産順守だったわけです。減産を順守すべく、生産量を急激に減らしていることがうかがえます。

供給を、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大によって減少している消費対応させている、意味もあると、みられます。

OPEC10カ国の原油生産量が急減している中で、消費が回復してくれば、需給バランスは引き締まり、原油相場は上値を伸ばしやすくなる、可能性が出てきます。

また、原油価格の急落もあり、米国の原油生産量が減少し、かつ、今後も減少が見込まれるため、減産順守によってOPECの生産シェアが急低下することは、避けられると考えらえれます。

来月7月の生産量の上限は、5月・6月と同じです。

6月よりも減少するか、注目です。

図:減産を実施するOPEC内10カ国の原油生産量 単位:千バレル/日量
減産を実施するOPEC内10カ国の原油生産量

出所:海外主要メディアのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。