OPECプラスはDoubt(ウソ)でCheat(ズル)なのか?

著者:吉田 哲
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原油反落。主要株価指数の反落などで。36.61ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,713.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年09月限は10,290元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年07月限は280.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで854.15ドル(前日比9.85ドル拡大)、円建てで3,091円(前日比15円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(6月4日 19時23分頃 先限)
 5,985円/g 白金 2,894円/g 原油 27,450円/kl
ゴム 154.4円/kg とうもろこし 22,690円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「OPECプラスはDoubt(ウソ)でCheat(ズル)なのか?」

前回は「米国の製油所への原油の投入量は“二番底”を打った!?」として、先週、EIA(米エネルギー省)が週間石油統計で公表した、米国の製油所への原油の投入量に、注目しました。

今回は「OPECプラスはDoubt(ウソ)でCheat(ズル)なのか?」として、今週、海外メディアが公表した5月のOPEC加盟国の原油生産量から、減産に参加する10カ国の原油生産量の合計について書きます。

以下のグラフのとおり、2020年5月は、減産を一時的に停止し、大増産をした2020年4月から、大幅に生産量が減少しました。

報道でも、OPECの原油生産量が大幅に減少した、との見出しが散見されます。報道の見出しや、グラフの変化だけで言えば、OPECはよくやっている、ように見えます。

とは言え、以前の「減産初月、OPEC側は減産順守できず」と「減産初月、OPEC側は減産順守できず②」で述べたとおり、2つの海外メディアが公表したデータは、ともに、減産順守率が70%台でした。(減産非順守)

気になるのは、3月までは、減産が仮に順守できていなくても、報道の見出しは“生産量は前月に少なかった”などと、美点凝視の傾向が感じられましたが、特に5月の生産量に関する足元の報道の中には、「Doubt(ウソ)」「Cheat(ズル)」などとOPECを酷評する文字が散見されていることです。

足元、日量970万バレルの減産の延長(5月・6月と同様の規模の削減量の維持)について、協議されていますが、仮に実施することで合意したとしても、一部のメディアは、守れないだろうと、見透かしているように感じます。

今のところ、OPEC総会は6月9日(火)、OPEC・非OPECの閣僚会議は翌10日(水)に予定されています。慎重に、見守りたいと思います。

図:減産に参加するOPEC内10カ国の原油生産量 単位:万バレル/日量
減産に参加するOPEC内10カ国の原油生産量

出所:海外メディアのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。