NY金、上値抵抗1800ドル超えで上げ加速

著者:菊川 弘之
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 世界的な株式相場の上昇で、これまでリスク回避時に流動性を確保するために買われていたドルがユーロや円などに対して売られている。9日に非公式ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)、10日にEU財務相理事会が開催予定。欧州委員会で提示された7500億ユーロ規模の基金「EU復興基金」の行方が焦点。17-18日に控えるEU首脳会議で、「EU復興基金」について合意が見えてくるか否か、各国のコメントに注目が集まる。今回のユーログループで投票が行われる次期議長人事に向けた動きも要注目。イタリアなどの南欧諸国はスペインのカルビニョ副首相兼経済相を推すとみられる一方、オランダなどの支持を受けてドナフー・アイルランド財務相が次期議長となった場合、基金への合意は難しくなる可能性も。ユーロ絡みでドル・金が動意付く可能性もあろう。

 トランプ大統領発言(我々は世界の警察官ではない)にあるように、米国の内向き姿勢の強化が、国際秩序の大規模な分断・再編成を招き、各地で地政学リスクの火種が燻っている。米中対立以外にも、中国vsインド、イスラエルvsハマスの衝突や、イランでは、核・軍事関連施設で6月下旬と7月初めに詳細不明の爆発が相次いで起き、2010年のナタンツ濃縮施設システム攻撃と同様に、イスラエルや米国によるサイバー攻撃を疑う声も強まっている。11月の米大統領選挙に向けて、トランプ大統領の対外強硬姿勢に変化は出ないだろう。 内外とも押し目買い基調継続見通し。買い主体の戦略を継続したい。
 

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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