どうなれば、原油価格が動くのか!?

著者:吉田 哲
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原油反発。主要株価指数の反発などで。41.86ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,825.50ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年09月限は10,680元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年09月限は299.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで954.75ドル(前日比4.75ドル縮小)、円建てで3,388円(前日比8円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(7月21日 19時7分頃 先限)
6,293円/g 白金 2,905円/g 原油 29,660円/kl
ゴム 159.0円/kg とうもろこし 22,800円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「どうなれば、原油価格が動くのか!?」

今回は「どうなれば、原油価格が動くのか!?」として、6月中旬以降、原油価格が横ばいである理由と、どうなれば、価格が動くのかを考えます。

NY原油価格は、4月20日にマイナス価格をつけましたが、その後は反発しました。しかし、6月中旬以降は、40ドルを挟んで、ほぼ横ばいで推移しています。

横ばいの理由に、上昇要因と下落要因が、ともに存在し、影響力を相殺し合っていると考えられます。

原油市場における複数の主要なテーマに、上昇要因と下落要因の両方が、存在しているとみられます。

材料がないため、価格が動かないのではなく、材料があり、それらが拮抗しているが故に横ばい、という考え方です。

筆者は、原油市場の動向を見る上で、以下の資料に記載した4つが、重要なテーマだと、考えています。

新型コロナ、米中関係、OPECプラス、米国の石油事情、です。これらのテーマは、いずれも、上昇要因と下落要因、両方を持っています。

これらの、材料の影響が連続して相殺されていることが、原油価格が横ばいで推移している理由だと、考えられます。

目先、 材料の拮抗状態は続く可能性がありますが、短期的に変化しそうな要因には要注目です。

新型コロナで受けたダメージから回復しつつある中国で、経済指標がさらに好転したり、株価指数が急反発したりすれば、景気回復→消費増加の期待が高まり、原油相場で上昇要因が強まります。

また、早ければ来週末にも、海外メディアが、OPECプラスの7月の原油生産量を速報ベースで公表しますが、7月もOPECプラス全体、個別の国々、いずれも減産順守、となれば、供給減少観測が強まり、上昇要因が強まります。

複数の材料で上昇要因が重なれば、3月の急落前の水準である41ドルから45ドル近辺を目指す可能性があると、考えています。

図:足元の原油相場の材料

出所:筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。