先週(10月9日~16日)は、小麦とイーサリアムの上昇が目立った

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。40.96ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,914.80ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年01月限は14,075元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年12月限は271.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1042.4ドル(前日比5.3ドル拡大)、円建てで3,527円(前日比5円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月19日 17時29分頃 先限)
6,474円/g 白金 2,947円/g
ゴム 205.4円/kg とうもろこし 24,490円/t

●シカゴ小麦先物 日足 (単位:ドル/ブッシェル)
シカゴ小麦先物 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「先週(10月9日~16日)は、小麦とイーサリアムの上昇が目立った」

前回は「米シェール生産量、やや減少。今後も減少が続くか!?」として、同データから、米シェール7主要地区の原油生産量の合計に、注目しました。

今回は「先週(10月9日~16日)は、小麦とイーサリアムの上昇が目立った」として、先週の、主要株価指数、通貨、商品(コモディティ)、暗号資産の4つのジャンルにおける合計25銘柄の騰落率を、ランキング形式で確認します。

先週は、ビットコイン、イーサリアムといった暗号資産の上昇が目立ちました。米国や中国の主要株価指数が上昇したことを受け、リスクを取って運用する“リスクオン”のムードが生じ、暗号資産もこのムードに乗じて、買われたとみられます。普段から比較的、変動率が高い傾向がある点も、上昇率が高くなった要因とみられます。

また、小麦、トウモロコシの上昇も目立ちました。週次の統計で輸出が好調だったことなどが要因とみられます。同じ穀物の大豆は、週中までは高値を維持したものの、週末にかけて利食いとみられる売りが優勢になり、週次ベースでは下落しました。

下落が目立ったのは、パラジウム、銀、プラチナ、金といった貴金属です。米中の主要株価指数が上昇したことで、“代替資産”の側面で売り圧力がかかり、金が下落。貴金属銘柄のリーダー格である金の下落をきっかけに、他の貴金属もともに売られたと、みられます。

先週は、上昇銘柄数が11(23)、下落銘柄数が14(2)、最大と最小を除く変動率の平均は-0.3%(+3.2%)でした。全体的には、10月9日(金)から16日(金)の週は“中立だった”と言えると思います。(カッコ内は先々週)

ただ、先週だけでみれば“中立だった”とみられるものの、先々週は、上昇銘柄数が23(下落銘柄数が2)で“強かった”ことを考えれば、先々週から先週にかけて、市場を取り巻く不安要素が増えたと考えられます。

その不安要素に、“米大統領選挙の混迷”と、“欧州の新型コロナの感染拡大”が挙げられます。これら2つの不安の拡大の影響範囲は広く、かつ今後、各種市場にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。

選挙戦をめぐる各種イベントの状況や、両候補の発言・行動、そして欧州における新型コロナの感染状況に、今週も、注視する必要があります。選挙戦をめぐるイベントとしては、今週22日(木)に討論会が予定されています。これが最後の討論会となることから、両候補の発言に注目が集まります。

この最後の討論会については、新型コロナの感染状況などの諸情勢により、中止や延期、あるいは2回目の討論会のように、別々の場所で演説を行うなど、形式が変わる可能性がある点に、注意が必要です。

図:ジャンル横断騰落率ランキング(10月9日~16日)
ジャンル横断騰落率ランキング(10月9日~16日)

出所:各種情報源をもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。