米国は2021年後半にビフォーコロナに戻る!?

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。38.81ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの低下などで。1,904.85ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年01月限は15,350元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年12月限は255.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1015.5ドル(前日比17ドル拡大)、円建てで3,429円(前日比変わらず)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月26日 19時12分頃 先限)
6,421円/g 白金 2,992円/g
ゴム 270.2円/kg とうもろこし 24,760円/t

●WTI原油先物 日足 (単位:ドル/バレル)
WTI原油先物日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「米国は2021年後半にビフォーコロナに戻る!?」

前回は「米国の石油在庫、高水準での推移が続く」として、EIA(米エネルギー省)が毎月公表している短期見通しに収録されている、2020年の米国の石油在庫の見通しに注目しました。

今回は「米国は2021年後半にビフォーコロナに戻る!?」として、EIA(米エネルギー省)が毎月公表している短期見通しに収録されている、米国のジェット燃料消費の見通しに注目します。

以下のグラフは、今年10月時点と3月時点の、2020年および21年の米国のジェット燃料消費の見通しです。

3月時点の見通しは2月までが実績値、10月時点の見通しは9月までが実績値です。実績値は点線、見通しは実線です。

前回の石油在庫と同様、3月時点の見通しは、2月半ばから3月にかけて作成された、つまり新型コロナがパンデミック化する前に作成された見通しです。コロナが想定されていなかった見通し、です。

10月時点の見通しは、まさに今、コロナ禍の見通し、です。ざっくり言えば、3月時点の見通しは“コロナ前”、10月時点の見通しは“コロナ禍”です。

“コロナ前”の見通しでは、通年で、日量180万バレル前後で推移するとされていました。多少の増減はあったにせよ、おおむね横ばいです。

“コロナ禍”の見通しでは、緊急事態宣言・移動の自粛などで急減したものの、その後回復することが見込まれています。注目すべきは、どの程度回復することを見通しているのか、です。

EIAは2020年10月時点の見通しで、2021年後半に、おおむね、コロナ前、つまり2020年1月の水準まで回復する、としています。“コロナ前”の見通しには届かないものの、それでもおおむね“回復した”と言ってもよいレベルです。

ジェット燃料の消費の回復は、ある意味コロナを克服したことの証だと筆者は思います。

少なくとも、グラフの青線のような回復が見られれば、移動の自粛は行われていないのではないか、と想像します。(よもや、燃費の悪い航空機がわずかに飛んでいることもないでしょう)

このグラフを見ると、コロナ禍にあって、何か希望が見えたような気がしますが、足元の感染状況を鑑みれば、安心することはできません。先の見通しよりも、足元の世界を丁寧に見ていくことが重要でしょう。

図:米国のジェット燃料消費の見通し 単位:百万バレル/日量
米国のジェット燃料消費の見通し

出所:EIA(米エネルギー省)のデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。