米国の石油在庫、高水準での推移が続く

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。40.77ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,912.80ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年01月限は14,840元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年12月限は265.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1015.7ドル(前日比4.9ドル縮小)、円建てで3,449円(前日比0円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月23日 20時15分頃 先限)
6,441円/g 白金 2,992円/g
ゴム 233.0円/kg とうもろこし 24,730円/t

●WTI原油先物 日足 (単位:ドル/バレル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「米国の石油在庫、高水準での推移が続く」

前回は「“OPECプラス減産順守”の解釈の仕方」として、19日(月)に、OPEC総会に決議事項を勧告したり、JTC(共同技術委員会)が算出した参加国各国の原油生産量のデータを評価し減産順守率を算出したりするJMMC(共同閣僚監視委員会)が公表した減産順守率について書きました。

今回は「米国の石油在庫、高水準での推移が続く」として、EIA(米エネルギー省)が毎月公表している短期見通しに収録されている、2020年の米国の石油在庫の見通しに注目します。

以下のグラフは、今年10月時点と3月時点の、2020年の米国の石油在庫の見通しです。3月時点の見通しは2月までが実績値、10月時点の見通しは9月までが実績値です。実績値は点線、見通しは実線です。

3月時点の見通しは、2月半ばから3月にかけて作成された、つまり新型コロナがパンデミック化する前に作成された見通しです。コロナが想定されていなかった見通し、と言えます。

10月時点の見通しは、まさに今、コロナ禍の見通し、です。3月時点の見通しは“コロナ前”、10月時点の見通しは“コロナ禍”、というわけです。

“コロナ前”の見通しは、2020年の米国の石油在庫はやや増加する、でした。米中貿易戦争の悪化による消費減少懸念などが想定されていたとみられます。

“コロナ禍”は、それにも増して、在庫が増加することが見通されています。コロナ禍で、米国国内の航空機や自動車などの燃料需要が減少していることが大きな要因とみられます。

6月・7月がピークで年末にかけて徐々に減少するとしているものの、“コロナ前”の見通しの水準までは減少しないことも、見通されています。

現在でも米国では感染者が増加傾向にあり、コロナ前に戻るのがいつか、予想できない状況にあります。

今後公表される見通しではむしろ、在庫水準の見通しが引き上がる可能性もあります。

原油相場にとっては、米国の石油在庫の増加見通しは下落要因になり得ます。今後も、米国の石油在庫の見通しの変化に、注目です。

図:米国の石油在庫の見通し 単位:百万バレル


出所:EIA(米エネルギー省)のデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。