大統領選挙結果別シナリオ

著者:菊川 弘之
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 10月26日にバレット氏を最高裁判事として承認。最高裁判事は保守6名、リベラル3名の構成となったことや、同じ10月26日に、刃物を持った黒人男性を警察官が発砲、射殺した事件に対して抗議デモだけでなく、暴動、略奪など大混乱に陥ったことで、人種差別問題よりも、トランプ大統領が唱える「法と秩序」が、より意識される流れとなっていることが「巻き戻し」の一因だろう。「警察・消防」票の多くは、共和党に流れそうだ。

 さらに、スーダンとイスラエルが23日、国交正常化に合意。トランプ米政権によるアラブ諸国とイスラエルの仲介は3ヶ国目で、「選挙公約」を守る姿勢も評価されている感触だ。「あれもやります、これもやります」と言った口だけ候補ではない、とのイメージも強い。何より、コロナを克服した強い大統領として、選挙活動における勢いは、バイデン候補を凌駕している。

 新型コロナの感染リスクを抑制するため郵便投票の割合が急増している中、訴訟リスクや開票の遅れ等から混乱することが見込まれるものの、2000年の大統領選挙時とは異なり、一定程度、混乱は織り込まれており、最高裁での判決が出るまで様子見をするという動きも想定される。

 10月段階では、前回トランプ大統領が勝利した接戦州における世論調査では、バイデン候補の支持率は、4年前に敗北したヒラリー・クリントン候補とほぼ同率。隠れトランプ票もあり、反トランプメディアの世論調査をあまり、信用しすぎてもいけないとの見方もある感じだ。

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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