大統領選挙結果別シナリオ

著者:菊川 弘之
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 この場合、選挙人投票が予定されている12月14日までに最高裁判決が出るか否かが焦点となる。2000年の混乱の際は、選挙人投票前に最高裁が判決(郵便投票の開票差し止め)を出し、ゴア候補の敗北宣言につながった。ここまでの長期化は一定程度、マーケットでは織り込み済み。

 仮に、12月14日までに確定しない場合、憲法修正12条が発動、下院に決定が持ち込まれる。選挙人は「各州に1票づつ割当てカウント」される事態となる。ここの織り込みは、現段階では進んでいない。

 トランプ大統領が再選した場合は、基本的に1期目の政策が踏襲されるとマーケットが見ているのに対して、

 バイデン候補が当選した場合は、

・インフラ投資と増税、
・規制強化、
・新閣僚人事(特に財務長官と国務長官・安全保障担当(NSC))

 などに関心が向きそうだ。

 インフラ投資は、公共投資やエネルギー網・ブロードバンド網などのインフラ投資。クリーンエネルギーへの投資は4年で2兆ドルという巨額なもので、他の公共投資と共に経済浮揚効果が期待されているが、財源は、法人税の増税。トランプ大統領によって35%から21%に引き下げられた法人税を28%に引き上げる予定で、マーケットが嫌気する可能性も。所得再配分型の増税も懸念されている。

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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