日本で“第3波?” 新型コロナ起因の不安心理が金相場を支える!?

著者:吉田 哲
原油反発。米主要株価指数の反発などで。40.66ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,875.60ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年01月限は14,385元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年01月限は257.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで985ドル(前日比4.3ドル縮小)、円建てで3,359円(前日比1円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月13日 18時24分頃 先限)
6,356円/g 白金 2,997円/g
ゴム 231.5円/kg とうもろこし 24,640円/t

●NY金先物 日足 (単位:ドル/トロイオンス)
NY金先物日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「日本で“第3波?” 新型コロナ起因の不安心理が金相場を支える!?」

前回は「“三重苦”にあえぐ金相場」として、11月9日(月)から足元までの、金相場の5つのテーマの状況について確認しました。

今回は「日本で“第3波?” 新型コロナ起因の不安心理が金相場を支える!?」として、足元の新型コロナウイルスの感染状況に関わる、日本、中国、オーストラリア、ニュージーランドの患者数(人口100万人あたり)に注目します。

ここで言う患者数とは、感染者から、回復者と死亡者を引いた値です。患者数の増減は、医療体制のひっ迫度に直接的に関わる要素です。

以下のグラフのとおり、新型コロナウイルスの感染拡大がはじまった今年1月以降、この4つの国で、山が何度か到来していたことがわかります。ここで言う山とは、いわゆる“波”です。中国で1月から2月にかけて、第1波が発生しました。その後は封じ込めに成功しているとみられ、患者数はほぼ、増加していません。

オーストラリアとニュージーランドは、3月・4月に、タイミング、規模がほとんど同じ波がありました。その後、ニュージーランドでは大規模な波は発生していません。一方、オーストラリアでは8月に大規模な波がありました。

日本はどうでしょうか。緊急事態宣言がなされた4月・5月に、波がありました。第1波です。6月と7月は小康状態となりましたが、8月に波が発生しました。第1波よりも大きい、第2波です。

その後は、6月・7月のような小康状態にはならず、一定程度、患者数が存在する期間が続きました。そして10月下旬から現在にかけて、第3波と思しき、波が発生しつつあります。

足元、日本では第3波と思しき波が発生していますが、オーストラリア、ニュージーランドでは、目立った患者数の増加は起きていません。感染防止のための制限のかけ方、健康に対する人々の意識などが異なることが、国による“波”の発生の仕方が異なる要因とみられます。

ただ、いずれにせよ、新型コロナの世界的な大流行(パンデミック)が終息する(≒WHOが同ウイルスの終息宣言をする)までは、まだまだ時間がかかるとみられます。次回以降、書きますが、欧米の患者数は急増の域に達しています。

バイデン氏の大統領選挙の勝利宣言や、ワクチンに大きな効果がある旨の報道は、楽観論を生み、景気動向に敏感な各種銘柄の、足元の上昇要因になっている一方、一部の州で法廷闘争中のため、次期米大統領がバイデン氏と確定したか定かではないこと、ワクチンにしても一般人に投与が始まり効果があると確認されたわけはないことに、留意しなければなりません。過度な楽観論を根拠とした価格上昇は、後に反動(下落)が起き招きかねません。

楽観論のもととなっている、バイデン氏の勝利宣言やワクチンの効果がある旨の報道は、いずれも“未然形”です。一方、トランプ大統領が法廷闘争をしていること、新型コロナの患者数が欧米で爆発的に増加していることは、“現在進行形”です。

市場がそれらのどちらを材料視するのかは、その時の状況次第ですが、どちらかといえば、値動きの根拠として強く、特に長期的なトレンドを形成するインパクトがあるのは、後者の“現在進行形”、つまり今で言えば、トランプ大統領が法廷闘争をしていること、新型コロナの患者数が欧米で爆発的に増加していること、だと筆者は思います。

まだ起きていない“未然”の事象で価格が動くことは、将来の思惑(期待・不安)を、今、織り込むこととほぼ同義です。一方、まさに今“進行”している事象は、現実です。これは、思惑と現実のどちらが変動要因としてインパクトが強いか、という議論です。

この議論は、時間軸の要素を加えることで、一定の結論に達すると考えられます。思惑は短期的な変動要因になり得る、現実は中・長期の変動要因になり得る、と筆者は考えます。その意味では、現在進行している新型コロナの感染拡大は、それが終息しない限り、市場に(思惑ではない)現実の側面から、長期的にインパクトを与え続ける可能性があります。

金相場は今週、反落しましたが、今後、現実的な不安要素を背景とした有事のムードの再燃をきっかけに、反発すると考えます。

図:新型コロナの患者数(人口100万人あたり 筆者推計)国名右の数字は11月12日時点  単位:人
新型コロナの患者数

出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。