まだ高い、原油相場の材料を俯瞰する

著者:吉田 哲
原油反発。米主要株価指数の反発などで。43.48ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,825.00ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年01月限は14,675元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年01月限は281.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで884.4ドル(前日比21.7ドル縮小)、円建てで3,013円(前日比10円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月24日 17時24分頃 先限)
6,145円/g 白金 3,132円/g
ゴム 235.3円/kg とうもろこし 24,790円/t

●WTI原油先物 日足 (単位:ドル/バレル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「まだ高い、原油相場の材料を俯瞰する」

前回は「米シェールは、もはや斜陽産業!? 回復しない同地区の原油生産量①」として、今月、EIA(米エネルギー省)が公表した2つの月次統計から、米国全体と米シェール主要地区の原油生産量について、書きました。

今回は「まだ高い、原油相場の材料を俯瞰する」として、一時43ドル台となり、9月上旬以来の高値に達したWTI原油先物に代表される、国内外の原油相場の変動要因を俯瞰します。

この1週間の原油の上昇率は、普段から変動率が高い傾向があるビットコインを上回っています。バイデン氏の勝利宣言を受け、クリーンエネルギー政策が進み、消費が減少するとの見方から、下落すると見られていましたが、今週もまだ、上昇しています。

原油相場は、特に今月3日の米大統領選挙の投票日以降、騰勢を強めています。しかし、この間、新たな下落要因が発生したり、既存の下落要因が強まったりしました。このため、足元の原油市場には、上昇要因だけでなく、下落要因も、同時に存在していることに、目を向ける必要があります。

上昇・下落、両方の材料が存在している中、どちらかと言えば、上昇要因が勝っているとみられます。このため、目立つ下落要因が存在していても、原油価格が上昇していると、考えられます。中でも、原油固有の上昇要因が目立ち始めていると、考えています。

OPECプラスは、来週、会合を行うことを予定しています。この会合で、来年1月に、縮小する予定だった削減幅を、縮小せず、現行の削減幅を維持する、あるいは、削減幅を逆に拡大することを、協議すると、報じられています。

日量770万バレルという大規模な減産の継続となれば、世界の石油の需給バランスが、ゆるみにくくなることが期待され、このような期待が、足元の原油相場の上昇の一因になっていると、みられます。

また、OPECプラスの減産順守率は、配下組織である共同閣僚監視員会が毎月、公表しています。100%を越えれば、減産順守ですが、このデータによれば、8月以降、OPECプラス全体で、減産を順守しているとみられます。

合意内容通りの削減ができなかった国が、削減できなかった量を多めに削減する“埋め合わせ”も、ほぼ達成していると、されています。

このような、足元の、OPECプラスの減産に対する前向きな姿勢は、市場に好意的に受け止められ、原油相場の上昇の一因になっている可能性があると、考えます。

バイデン氏の勝利宣言で、米国でもクリーンエネルギーが台頭し、世界的に原油の消費料が、減少する懸念があり、このような強い下落要因がありながらも、原油相場が上昇していることを考えれば、下落要因を相殺して余りあるだけでの、上昇要因が、同時に存在していることを、示していると言えます。

複数の固有の上昇要因の他、周辺材料として、ワクチンへの期待を映した株高なども、原油相場にとって、強い上昇要因になっていると、考えられます。この点より、今後も、株高が見られれば、消費回復期待から、上値を伸ばす可能性があると、考えています。

図:足元の原油相場の環境


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。