200日移動平均線割れ後の金相場見通し

著者:菊川 弘之
 執筆段階では、依然としてトランプ大統領の敗北宣言は出されていないものの、トランプ米大統領が23日、「国益を第一に考え、必要な措置を取るように勧めた」とバイデン前副大統領への政権移行業務を容認する姿勢を示したことで、株式市場中心にリスクオンが強まっている。財務長官人事は、懸念されていたエリザベス・ウォーレンや、本命視されていたブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事ではなく、ハト派として有名なイエレン前FRB議長を選んだと報じられたことも一因。

 マーケットは12月8日の大統領選挙人確定日や、14日の選挙人投票日までには敗北宣言が出されるとの観測からバイデン大統領誕生を織り込みに入っている状況だ。

 ここまで様子見を決めていた中国の習近平国家主席は25日、バイデン次期米大統領に「中米関係の健全で安定的な発展を推進するよう望む」などと関係改善を訴える祝賀メッセージを送った。習主席の正式な祝電は初めてとなる。

 これで、また一歩、トランプ大統領の敗北宣言が近づいた感が高まった。トランプ大統領は25日、元側近で偽証罪に問われていたフリン元大統領補佐官(国家安全保障担当)に恩赦を与えると発表。大統領として最後にできうる動きに出ているようにも見える。

 日経平均は年初来高値を更新、NYダウは終値ベースで初めて、3万ドルの大台に乗せた。この流れの中で、NY金(12月限)は、200日移動平均線割れとなり、6月安値~8月高値までの上昇に対する61.8%押しを達成。24日に200日移動平均線を割り込んだが、長大陰線引けで底打ち感は薄い。25日には十字線で引けており、26日のサンクスギビンデー(感謝祭)休場後に、この十字線レンジを下放れた場合、さらなる深押しも想定されるチャート形状だ。


 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

日産証券主席アナリスト / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。
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