プラチナの一大消費地欧州で、新型コロナの感染状況に改善の兆し

著者:吉田 哲
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原油反発。米国の主要株価指数の反発などで。45.31ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,842.70ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年05月限は15,625元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年01月限は286.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで811.8ドル(前日比6.3ドル縮小)、円建てで2,761円(前日比10円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月3日 17時33分頃 先限)
6,188円/g 白金 3,427円/g
ゴム 264.1円/kg とうもろこし 24,720円/t

●NYプラチナ先物(期近) 月足 (単位:ドル/トロイオンス)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「プラチナの一大消費地欧州で、新型コロナの感染状況に改善の兆し」

前回は「プラチナなど、一部のコモディティ市場で投機筋の活動が活発化している」として、米国の各種商品先物市場における、投機筋の動向について書きました。

今回は「プラチナの一大消費地欧州で、新型コロナの感染状況に改善の兆し」として、プラチナの一大消費地である欧州で、新型コロナの感染状況が、改善しつつあることについて、書きます。

プラチナは、自動車排ガス浄化装置向けの他、宝飾、歯科、投資用など、さまざまな用途で消費されています。さまざまな用途で用いられているため、景気の良し悪しが、プラチナの需要動向に影響することがあります。

全需要の約30%を占めるプラチナの一大消費地である欧州で、景気が上向く兆しが出始めていると、筆者は考えています。以下のとおり、新型コロナの回復率(ここでは、回復者数÷感染者数で計算)が、11月の半ば以降、複数の欧州主要国で回復し始めているためです。

欧州主要国では、感染者の増加は止まっていないものの、11月半ばごろから、イタリアやドイツなどで回復者数の増加が目立ち始めており、回復率が上昇しはじめています。回復率が高水準であればあるほど、感染者が早期に社会復帰できる、つまりその国全体としては、(排反関係とも言える)経済と生活の回復を、同時進行しやすくなると、考えられます。

欧州主要国で、少しずつ、回復率が上昇しはじめた点は、今後の欧州経済の回復を根底から支える、強い材料になると、考えられます。ワクチンが普及する前にこのような事象が起きている点は注目に値すると考えます。

図:欧州などの主要国における新型コロナの回復率(回復者数÷感染者数)


出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。