プラチナなど、一部のコモディティ市場で投機筋の活動が活発化している

著者:吉田 哲
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原油反発。米国の主要株価指数の反発などで。44.68ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,829.85ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年05月限は15,775元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年01月限は284.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで823ドル(前日比8ドル拡大)、円建てで2,811円(前日比13円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月2日 18時55分頃 先限)
6,149円/g 白金 3,338円/g
ゴム 260.8円/kg とうもろこし 24,620円/t

●NYプラチナ先物(期近) 月足 (単位:ドル/トロイオンス)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「プラチナなど、一部のコモディティ市場で投機筋の活動が活発化している」

前回は「“イメージ”で論じてはいけない。プラチナの需要は“実態”に着目しなければならない」として、プラチナの需要動向(年ベース)に注目しました。

今回は「プラチナなど、一部のコモディティ市場で投機筋の活動が活発化している」として、米国の各種商品先物市場における、投機筋の動向について書きます。

投機筋は、短期的なトレンド(上昇も下落も)を増幅させる働きがあると考えられます。何らかの上昇要因が発生し、価格が上昇している市場において、投機筋が買い建玉(たてぎょく)を増やした場合、価格上昇のスピードが増す場合があります。(逆もしかりです)

以下のグラフは、“バイデン・ワクチン相場”が始まったころ(11月3日)と11月24日の、各コモディティ銘柄の投機筋の買い越し枚数(買い枚数-売り枚数)の変化を示しています。

“バイデン・ワクチン相場”の最中、価格が下落した金や小麦は、買い越し枚数が減少しました。また、価格の上昇率が比較的低かった砂糖、赤身豚肉、綿花も、買い越し枚数が減少しました。

一方、この間、投機筋の買い越し枚数の増加が目立ったのは、カカオとプラチナでした。米国の先物取引所で売買されている先物銘柄の中で、カカオとプラチナは、金や原油などのメジャーな銘柄に比べれば、売買高はさほど多くありません(限月によっては、むしろ少ない場合もあります)。

売買高がさほど多くない先物市場で、投機筋が買い越し枚数を増加させた場合、彼らの注文によって、価格の上昇が加速する場合があります。“バイデン・ワクチン相場”の最中、カカオは20%弱、プラチナは10%を超える上昇を演じています。

投機筋が買い越し枚数を増加させたこと、その市場が、売買がさほど多くないこと、などの条件がそろったことが、このような大きな価格上昇のきっかけとなったと、考えられます。

足元のプラチナ価格は、長期的な視点でみて、プラチナ自身の過去の高値に比べて安い水準にあります。短期的な売買に主眼を置いているとみられる投機筋も、今回の物色の際は、プラチナの長期的視点における割安感に着目した可能性があると、筆者は考えます。

図:各コモディティ銘柄の投機筋の買い越し枚数の変化 (11月3日と24日を比較)


出所:CFTC(米商品先物取引委員会)のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。