週刊石油展望

著者:三浦 良平
ブックマーク
 先週末のWTI原油は前週比1.45ドル高の46.41ドル、ブレント原油は同1.86ドル高の49.61ドルとなった。

 週明け30日にはOPEC総会が行われた。非加盟国を含めたOPECプラスの同意が得られれば増産(減産幅の削減)を3ヶ月延期することで概ね意見が一致したと報じられたものの、最終合意はOPECプラス会合に持ち越されるため、様子見推移でやや軟調に推移。翌1日は、予定されていたOPECプラス会合が1日から3日に延期されたことから先行き不透明感が強まり、減産規模の維持に関してOPEC内でも議論がまとまっていないとの思惑(前述の通り、OPEC加盟国は来年1月からの増産を見送り、日量770万バレルの減産目標を3月まで維持することで合意したものの、ロシアは1月から50万バレルずつ毎月増産することを提案)から下値を切り下げる展開となる。また、API統計において原油在庫が予想外に増加していたことも下押し材料となった。2日は、英国にて欧米他国に先行して米ファイザーなどが開発する新型コロナウィルスワクチンが承認され来週7日から利用可能になったことで、先行きの経済活動正常化への期待感から反発。またEIA統計では、API統計で示されたほど原油在庫が減少せず、こちらも下支え要因となった。3日に行われたOPECプラス会合においては、現行の減産規模を段階的に縮小し1月から毎月最大で日量50万Bを上限に増産することで合意がなされた。期待されていた減産体制の維持とはならなかったものの、日量50万B程度なら需給バランスにさほど影響はないとの見方から市場は前向きな反応となっている。また、米追加経済対策の協議が再開したと伝わったことでリスクオンムードが拡がり、株高・ドル安推移したことも支えとなった。



 今週の原油マーケットは高値圏でのもみ合い~やや上方向の展開が想定される。前述のようにOPECプラスの来年からの増産幅は小幅なものにとどまり、また米国では12月12日から、英国では来週から新型コロナワクチンの接種が開始されるとみられており、先行きへの期待感が高まっている。さらに、米国の追加景気対策の合意期待も相場を支えるだろう。こうした材料から大きくは売られにくい環境で、続伸の反動から一時的に利食い売りが出ても、押し目は比較的浅いところから買われやすいと考えられる。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。