11月末にかけてリスクオンが高まった流れから一転して、足元のマーケットは急速に不確定要因が広がっている。11日の暫定予算期限(財政の崖リスク)迄に、まとまると期待されていた米追加経済対策協議は難航しており、連邦政府機関閉鎖回避のため、通年予算案と追加経済対策法案をまとめる期限を1週間延長した。
米追加経済対策を巡る与野党協議が難航する中、週間の新規失業保険申請件数は85.3万件と、市場予想(73万件)を上回り、2ヶ月半ぶりの高水準となった。米国の新型コロナによる死者数は9日に3000人を超え、過去最多を更新。追加経済対策がないまま感染が拡大し、米景気を下押しするリスクが警戒され始めている。
米CNBCは10日、「上院の共和党は、超党派の議員が1日に提案した9080億ドルの経済対策案を支持しない」と伝えた。与野党協議は、州と地方政府への支援や新型コロナウイルスに関連する賠償請求訴訟から企業を守る免責条項などで意見が割れている。
また、年末の英国のEU離脱のデッドラインを前に、英国とEU協議は平行線のままで、ハードブレグジット懸念が再浮上している。9日に英国とEUの交渉団が、通商協定の合意に向けた72時間の追加交渉時間を与えられ、13日には協議をさらに継続するか否かの判断が下される予定の中、ボリス・ジョンソン英首相は10日、EUとの交渉が決裂する恐れがあるとし、「合意なき離脱」に備えるべきだとの見解を示した。
米モルガン・スタンレーは約1000億ユーロ(約12兆6000億円)相当の資産を、英国からフランクフルトに移管する計画。英国の欧州連合(EU)離脱移行期間が終了したと考えられる来年1ー3月(第1四半期)に資産の大半を移管する見通しだ。
