年末にかけ波乱含みの金相場

著者:菊川 弘之
ブックマーク

 ビットコインなどの暗号資産も、買い直されており、コロナショックをきっかけとした世界的な金融・財政総動員に伴う債務拡大からの通貨全体に対する「信任低下」と言う大きなテーマは継続している。

 金の世界的な生産量は、ほぼ横ばいであるのに対して、コロナショックもあり、米国のマネタリーベースは拡大の一途だ。2000年以降の金の上昇要因は、中央銀行が売り方から買い方へ転換、鉱山会社のヘッジ売り(オーバーヘッジ)の巻き戻し、米同時多発テロ(9.11)、オイルマネーの流入、中国の台頭、金ETFの誕生、リーマンショック・コロナショック、米中対立(覇権戦争)、英国のEU離脱決定など、様々な要因があるが、この金生産量と米マネタリーベースの差が、結果として、金に対してのドルの減価となり、金への資金流入を呼び込み、200ドル台から20年かけて2000ドル台までの上昇となった。

 2000年以降のマーケットを振り返り、金と株式市場を比較してみると、この20年間の金の優位性が見て取れる。

 NY金(2月限)は、8月高値~11月安値までの下げ幅に対する38.2%戻しが、1894ドル、半値戻しが1933.2ドル、61.8%戻しが1972.4ドル。円建ての金標準先物は、同38.2%戻しが6332円、半値戻しが6466円、61.8%戻しが6600円。これらの水準では、それぞれ一旦、上値抵抗感に会いやすいが、11月末安値を下回らない限り、「底を打った相場は天井を付けるまで高い」展開が続きそうだ。

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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