テキサス州の米国の石油産業への貢献②

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米国の主要株価指数の反発などで。47.12ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。1,828.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年05月限は14,655元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年02月限は304.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで805.2ドル(前日比16.6ドル縮小)、円建てで2,711円(前日比43円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月14日 20時30分頃 先限)
6,092円/g 白金 3,381円/g
ゴム 238.6円/kg とうもろこし 24,730円/t

●WTI原油先物(期近) 日足 (単位:ドル/バレル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「テキサス州の米国の石油産業への貢献②」

前回は、「テキサス州の米国の石油産業への貢献①」として、EIA(米エネルギー省)が公表している統計から、テキサス州と米国全体の原油生産量について書きました。

今回は、前回に関連し「テキサス州の米国の石油産業への貢献②」として、EIA(米エネルギー省)が公表している統計から、米シェール主要7地区の地区別の原油生産量について書きます。

以下のグラフは、2008年1月から2020年10月までの、米シェール主要7地区の地区別の原油生産量の推移を示しています。

2010年頃、米国でシェール革命が起き、主要地区7地区の中でも、パーミアン、バッケン、イーグルフォードの3地区の原油生産量が急激に増加しはじめました。

パーミアンは主にテキサス州(一部ニューメキシコ州)、バッケンは主にノースダコタ州(一部モンタナ州)、イーグルフォードはテキサス州です。

パーミアンはシェール革命が起きる以前から、シェール主要地区の中で最も生産量が多い地区で、米国の金融引締めとOPECの減産見送りで発生した原油価格の急落・低迷“逆オイル・ショック”が始まった後も原油生産量が増加し続けました。

一方、イーグルフォードは同ショック発生後、急激に生産量が減少し始めました。

急落・低迷した原油価格でも経済的メリットを享受できる原油生産を継続するためになされた、技術革新に裏打ちされた“効率化”は、パーミアンのみでなされたこと、とグラフから想像できます。

同ショックを機に、米シェールで“地区の選別”が行われ、パーミアンが選別されたと考えられるのは、地区の面積が広い点に加え、もともと生産量が多く、インフラやノウハウが揃っていたとみられることが、選別の要因であると考えられます。

同ショックを経て、テキサス州をメインとするパーミアン地区は、米シェールの最重要地区となり、その最重要地区を管理したのがテキサス州だった、と言えると思います。

テキサス州の司法長官が最高裁に、ペンシルベニア、ジョージア、ミシガン、ウィスコンシンの東部4州の選挙結果を無効にするよう訴えましたが、他の州の選挙結果について訴訟を起こすことはできないとして、訴えは却下されました。

万事休すでしょうか。12月14日(月)は、選挙人による投票日です。今回の訴訟の却下は、さらにクリーンエネルギー策推進を標榜するバイデン新政権が発足することを確実にしたと言えます。米国の石油産業の地盤沈下が、懸念されます。

図:米シェール主要7地区の原油生産量(地区別) 単位:百万バレル/日量


出所:EIA(米エネルギー省)のデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。