2021年の脱炭素は、車1台の排ガス浄化装置向け貴金属消費を増やす一因

著者:吉田 哲
原油反発。米主要株価指数の反発などで。50.15ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,959.10ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年05月限は14,375元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年02月限は323.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで843ドル(前日比8.2ドル拡大)、円建てで2,835円(前日比12円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月6日 18時47分頃 先限)
6,472円/g 白金 3,637円/g
ゴム 238.1円/kg とうもろこし 27,070円/t

●大阪プラチナ先物 日足 (単位:円/グラム)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「2021年の脱炭素は、車1台の排ガス浄化装置向け貴金属消費を増やす一因」

前回は、「2021年の脱炭素は、分断を発生・深化させ、有事のムードを強める」として、“2021年の脱炭素”と金(ゴールド)の関りについて、筆者の考えを書きました。

今回は、「2021年の脱炭素は、車1台の排ガス浄化装置向け貴金属消費を増やす一因」として、“2021年の脱炭素”とプラチナの関りについて、筆者の考えを書きます。

プラチナは主に、自動車の内燃機関(エンジン)と消音器(マフラー)の間に設置される排ガス浄化装置内の、排ガスが通る機構に用いられています。プラチナが持つ触媒作用(自分の性質を変えずに、化学反応によって相手の性質を変える作用)によって、機構を通る排ガス内の有害物質が、水や二酸化炭素に変換されます。

以下のグラフは、欧州主要国で生産された自動車(自家用車、商用車、トラックなどを含む四輪車)の台数と、欧州主要国で自動車の排ガス浄化装置に使用された貴金属(プラチナ、パラジウム、ロジウム)の数量から推計した、欧州主要国における、自動車1台あたりの排ガス浄化装置向け貴金属消費量の推移です。

年々、増加していることがわかります。近年は、欧州主要国で生産される乗用車と商用車の割合は大きく変動していないことから、自動車1台あたりの貴金属消費量が増えた理由を、大型車が多く生産されたため、とすることはできません。

増加の背景には、環境配慮のムードの中、今後も強化されることが想定される、世界屈指の厳しさと言われる、同地域の排ガス規制が挙げられると、筆者は考えています。

年々厳しさを増す排ガス規制をクリアし続けるためには、燃焼効率が良い内燃機関や、大気中に排出される有害物質をできるだけ少なくする高性能の排ガス浄化装置が必要です。このような背景があり、排ガス浄化装置の性能を向上させるべく、自動車1台の排ガス浄化装置に使われる貴金属の量が増加していると、考えられます。

“脱炭素”の本格的な議論が始まることも相成り、こうした厳しい環境規制を背景としたプラチナ需要の増加は、2021年も継続する可能性があると筆者は考えています。

図:欧州主要国における、自動車1台あたりの排ガス浄化装置向け貴金属消費量(筆者推計) 単位:グラム


出所:OICA(国際自動車工業連合会)、トムソンロイターGFMSのデータをもとに筆者推計

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。