[Vol.918] 中国のトウモロコシ輸入量が統計史上最高に

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。53.50ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,851.80ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。21年05月限は14,665元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年03月限は342.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで752.45ドル(前日比4.25ドル拡大)、円建てで2,558円(前日比29円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月20日 19時27分頃 先限)
6,198円/g 白金 3,640円/g
ゴム 235.6円/kg とうもろこし 27,010円/t

●シカゴトウモロコシ先物(期近) 日足 (単位:ドル/ブッシェル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「中国のトウモロコシ輸入量が統計史上最高に」

前回は、「穀物の主要輸出国で、供給障害を引き起こす要因が複数、発生中」として、足元の、穀物価格の上昇要因について、筆者の考えを述べました。

今回は、「中国のトウモロコシ輸入量が統計史上最高に」として、前回述べた昨年12月以降に目立ち始めた上昇要因の一つ、“中国:米国産トウモロコシの輸入が統計史上最高”に関連する、中国のトウモロコシの輸入量について述べます。

これまで中国は、天候不順などが発生した場合を除き、おおむね、トウモロコシを自給自足してきたとみられます。トウモロコシは主に家畜のエサに用いられます。増加する自国の食用肉や家畜由来の製品(卵、牛乳やバターなど)の需要に対応すべく、そのエサとなるトウモロコシを、自国で生産をしてまかなってきました。

しかし近年は、以下のグラフのとおり、中国のトウモロコシ輸入量は増加傾向にあります。2019年度(穀物年度)は、過去60年で最も輸入量が多くなりました。そして、2020年度は記録的な水準まで増加することが見込まれています。

USDA(米農務省)の別の統計では、今月に入り、米国の中国向けトウモロコシ輸出量が週次ベースで、統計史上最高を記録しました。この点を考慮すれば、急増が見込まれる2020年度の中国のトウモロコシ輸入の多くは、米国によってまかなわれると、考えられます。

主要輸出国で供給障害を引き起こす要因が複数、発生していること、それらがすぐに解消しない可能性があること、また、これまでおおむねトウモロコシを自給自足してきた中国が、米国などから輸入しはじめたこと、異常気象(ラニーニャ現象)や病気(新型コロナ)まん延によって、市場が例年と異なる状態にあることなど、複数の材料が重なり、現在の穀物高が発生していると、筆者は考えています。

また、トウモロコシだけ、大豆だけ、小麦だけなど、どれか1銘柄だけではなく、3銘柄いずれにも上昇要因が存在する点は、“穀物全体”を物色する要因となり、3銘柄の足並みをそろえた上昇に、拍車をかけていると考えられます。

図:中国のトウモロコシ輸入量 単位:千トン


出所:USDA(米国農務省)のデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。