[Vol.919] “シェールが減るから米国全体が減る”が鮮明に

著者:吉田 哲
原油反落。米国の主要株価指数の反落などで。52.92ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,869.60ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年05月限は14,745元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年03月限は340.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで741.7ドル(前日比8.4ドル縮小)、円建てで2,530円(前日比28円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月21日 18時35分頃 先限)
6,235円/g 白金 3,705円/g
ゴム 238.7円/kg とうもろこし 27,110円/t

●WTI原油先物(期近) 日足 (単位:ドル/バレル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「“シェールが減るから米国全体が減る”が鮮明に」

前回は、「中国のトウモロコシ輸入量が統計史上最高に」として、前々回述べた昨年12月以降に目立ち始めた上昇要因の一つ“中国の米国産トウモロコシの輸入が統計史上最高”に関連する、中国のトウモロコシの輸入量について述べました。

今回は、「“シェールが減るから米国全体が減る”が鮮明に」として、1月19日(火)に、EIA(米エネルギー省)が公表した、米シェール主要地区における各種データから、主要7地区の原油生産量(合計)の動向について述べます。

2020年12月時点で、米シェール主要7地区の原油生産量の合計は771万バレル/日量、米国全体は1099万バレル/日量です。米シェール主要地区は米国全体の原油生産のおよそ70%を担っています。

以下の図のとおり、“シェール革命”の名のもと、2010年ごろから米シェール主要地区の原油生産量は急増し、それに伴い、米国全体の原油生産量が急増しました。“シェールが増えれば米国全体の原油生産量が増える”という構図だったわけです。

この点は、生産シェアにこだわるOPECが減産を見送る動機になったり(2014年11月)、OPECプラスの原油の減産の効果を薄めたりして(2017年1月から2020年1月ごろまで)、OPECの政策に大きな影響を与えてきました。

しかし、新型コロナがパンデミック化して10カ月強が経過した今、かつての“シェールが増えれば米国全体の原油生産量が増える”という構図は、“シェールが減るから米国全体が減る”という、真逆の構図に変化しました。

現在の米シェール主要地区の原油生産量の減少は、報じられているとおり、原油価格が新型コロナショックで急落し(2020年3月)、高コスト体質の業者が退出したことが主因とみられます。

筆者は、米シェールおよび米国全体の原油生産量の減少は、原油相場の上昇・下落、どちらの要因にもなり得ると考えてます。

米シェールの生産量が減ることで、需給が引き締まりやすくなり、原油価格が上昇するシナリオと、米シェールの生産量が減ることで、消費回復の鈍さが市場に伝わり(生産減少は消費減少を想定したもの)、原油価格が下落するシナリオです。

需給引き締まりのきっかけととるか、消費の弱さを示す指標ととるか、米シェールの生産量の減少は、解釈次第で、上昇要因にも下落要因にもなるわけです。

図:米国全体と米シェール主要地区の原油生産量 単位:百万バレル/日量


出所:EIA(米エネルギー省)のデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。