週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比 0.29安の52.13ドル、ブレント原油は同0.03ドル安の55.37ドルとなった。

 前週末の海外原油は新型コロナウィルス感染拡大により石油需要が減少するとの懸念が重しとなったほか、EIA統計において原油在庫が予想外に増加していたことが嫌気され反落した。ただし、売り一巡後は押し目買いの動きに支えられると、引けにかけては下げ幅を縮小する動きとなった。

 先週は強弱材料が交錯する中で往って来いの展開となった。週明け25日はイラクが1~2月の生産量を12月実績から日量25万B減産し360万Bにする方針を示したことや、リビアで石油輸出港が閉鎖され供給が停止していることなどが支えとなり反発した。翌26日は新型コロナウィルス感染者数が世界的に増加しており、石油需要が減少するとの懸念が上値を抑える一方、サウジアラビアの首都リヤドで爆発音が聞かれたとの報で地政学リスクが高まったことから下値も限られる格好となり、ほぼ横ばいでの推移となった。翌27日はAPI統計で原油在庫が減少していたことを受け時間外から上昇すると、EIA統計でも原油在庫が増加予想に反して1,000万B近く減少していたことが好感され堅調な推移となった。ただし買い一巡後は戻り売りに押されると、株安やドル高進行が重しとなる中で上げ幅を縮小する展開となった。週末にかけては米株高や原油在庫の減少が支えとなる一方、新型コロナウィルスワクチンの普及が遅れていることが重しとなり軟調な推移なった。



 今週の原油相場は横ばい~やや下方向への推移が想定されそうか。今週は特段の新規材料がみられない中でコロナワクチン接種の拡大で景気が回復に向かうとの期待感と、足元の感染状況の深刻化との綱引きの様相になり、強弱まちまちな展開となった。ただし、金融市場にリスクオフムードが漂っている中で株安・ドル高推移していることや、来月12日から始まる春節で中国国内の感染者数が急増すると予想されていることは重しとなりそうだ。また、今週に入りWTIで53ドル台の高値維持に失敗している中で天井感も強まっており、このまま上抜けなければ一旦調整売りに押されてもおかしくはなさそうだ。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。