[Vol.932] 原油は60ドルに達するのか!?

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米国の主要株価指数の反落などで。58.16ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,847.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年05月限は14,855元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年04月限は378.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで654.85ドル(前日比7.1ドル縮小)、円建てで2,279円(前日比15円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月9日 19時16分頃 先限)
6,219円/g 白金 3,940円/g
ゴム 242.5円/kg とうもろこし 28,710円/t

●WTI原油先物(期近) 日足 (単位:ドル/バレル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「原油は60ドルに達するのか!?」

前回は、「先週(1月29日~2月5日)は、PGMが上昇」として、先週1週間の各ジャンルの主要銘柄の騰落率を確認しました。

今回は、「原油は60ドルに達するのか!?」として、足元の原油相場の上昇要因について、考えます。

前回述べたとおり、この約1週間、ジャンルを問わず、幅広い銘柄が上昇しました。

一部の大手企業が自社の決済に使うことができるとしたビットコインや、昨年秋ごろから上昇が続いている、トウモロコシ、銅、昨年冬から上昇が目立ち始めた原油、プラチナなどが、特に上昇しました。

WTI原油は現在、58ドルを超えています。昨年11月初旬は37ドル前後だったため、この3カ月間で、50%以上、上昇しています。

バイデン氏の米大統領就任や“脱炭素”、感染拡大による消費減少は、原油にとって逆風ですが、逆に価格は、大きく上昇しています。

原油固有の材料、周辺材料、いずれにも上昇要因があり、現在の原油市場はこれらを強く材料視していると考えられます。原油相場は、上昇要因の“良いところ取り”の傾向が強いように、感じます。

大局的な下落要因がありながらも、足元の上昇要因を材料視して上昇する傾向は、目先続く可能があると考えています。

特段の下落要因が発生しなければ、短期的に、60ドルをつける可能性もあると、筆者は考えています。

図:足元の原油相場の上昇要因(一例)


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。