金相場下落の背景と展望

著者:菊川 弘之
 金相場が調整局面入りとなっている。NY金は52週移動平均線を維持しているものの、OSE金は52週移動平均線を維持できず上値が抑えられている状況だ。

 金が上値を抑えられている主な理由は以下が想定される。

 ①トランプ前大統領の弾劾裁判が早期に終了。バイデン米政権が掲げる1.9兆ドル規模の追加経済対策を巡って、民主党が財政調整法を活用して単独で成立させる手続きを進めており、国債増発観測から米債券市場で長期金利が上昇し、ドル高・金売りとなっている。

 ②ビットコインを始めとする暗号資産が高騰を続けており、コロナショック後の債務拡大からの既存通貨(体制)に対する信認低下を材料にした資金シフトの一部が金から暗号資産へ流れている。金ETFの資金流出。

 ②イタリア政局不安に対するユーロ安ドル高。米国と比較して相対的なマクロ経済の弱さが欧州にあることからのユーロ安・ドル高。

 ③ロビンフッダーに投機的に買い上げられてきた銀相場の反落。

 ④大口投機玉(CFTC建玉明細)のドル売り偏重の巻き戻しによるドル高。

 これら金の上値抑制要因に関して、①は米国内のコロナ感染拡大は一服しており、米追加経済対策に伴う景気回復期待も強く、マクロ経済指標の好転に伴う長期金利上昇圧力は強い状況が継続しそう。今後、夏にかけて出てくる指標は、前月比では落ち込みが見られても、前年同期比では大きく好転する指標が多いと予想される。

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

日産証券主席アナリスト / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。
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