[Vol.939] 原油スーパーサイクル到来!?①

著者:吉田 哲
原油反発。米主要株価指数の反発などで。59.12ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,770.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年05月限は15,650元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年04月限は388.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで493.5ドル(前日比6.8ドル縮小)、円建てで1,730円(前日比24円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月19日 20時19分頃 先限)
6,011円/g 白金 4,281円/g
ゴム 266.0円/kg とうもろこし 28,950円/t

●WTI原油先物(期近) 月足 (単位:ドル/バレル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「原油スーパーサイクル到来!?①」

前回は、「プラチナ、1,450ドルも射程に入るか!?」として、中期的に底流するプラチナ相場の上昇要因について考えます。以前の「[Vol.934] コロナ禍で貴金属市場に自我が芽生える!?」でも述べた、金融緩和と“脱炭素”ブームの2点に注目しました。

今回は、「原油スーパーサイクル到来!?①」として、原油相場の長期的な値動きにおける、大きな山(サイクル)について、考えます。

米金融大手が、“コモディティのスーパーサイクル”が到来しているのではないか、というレポートを著したと、話題になっています。過去100年間で5度目とのことです。

以下のグラフは、過去およそ70年の原油価格の推移を示しています。2020年3月までのデータであるため、5度目とされるスーパーサイクルは含まれていません。

“サイクル”と聞くと、一定の周期で、山と谷が訪れるイメージを抱く人もいると思います。筆者もその口なのですが、前出の米金融大手は、“大きな山”を、サイクルと言っているように感じます。

どの点をとって5度目としているか、わかりませんが、少なくとも、グラフ内の3つの山の頂上となった、“オイルショック”、“新興国”、“金融緩和”はそれぞれ、5度のスーパーサイクルの1つとみられます。

それぞれのスーパーサイクルが発生したきっかけは、オイルショック(1980年)が、中東産油国の原油価格の一方的な引き上げと同地域での地政学的リスクの高まり、新興国(2008年)が、中国やインドなどの新興国における目覚しい経済発展による急激な需要増加、金融緩和(2013年)が、2009年から始まった先進国の金融緩和により景気回復とカネ余り、などと考えられます。

いずれも、きっかけは異なります。きっかけは異なれども、ピーク時の物価調整後の実質価格は、おおむね同じ水準です。この意味では、5度目とされるスーパーサイクルも、それと同じ水準まで上昇する可能性があると、言えると思います。

果たして、足元の原油相場は、5度目の“スーパーサイクル”なのでしょうか。スーパーサイクルであるかどうかは、時間が経過しなければわかりませんが、産油国の価格引き上げ策(OPEC減産)、イラン核合意不履行懸念(中東における地政学的リスクの高まり)、新型コロナの感染拡大を抑え込んだ上、ハイテク分野で躍進する中国の経済発展(新興国の台頭)、コロナ禍で負ったダメージを回復させるべく行われている過去に例を見ない規模の金融緩和(金融緩和)・・・などと考えると、本当に5度目のスーパーサイクルが到来しているようにも、思えます。

環境配慮を前面に押し出すバイデン氏が米大統領に就任したにも関わらず、原油相場は2月に入り、10%以上も上昇しています。大きな下落要因を、相殺して余りある、上昇要因が存在しているのだと、思います。注意深く、原油相場の動向に、注目したいと思います。

図:原油価格の長期推移(2020年3月まで) 単位:ドル/バレル


出所:inflationdata.comのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。