商品市場は歴史的大底確認

著者:菊川 弘之
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 米金利上昇が金融市場で注目されているが、現段階ではインフレを強く警戒する向きは少ない。ただし、供給サイドから世界的なインフレは深刻さを増しており、今後はアフターコロナで需要が回復してくると、急速に需給タイト感が浮上してくる可能性には注意を払いたい。

 2000年代初めに「商品の時代は始まったばかりだ!」と、資源・エネルギー相場の高騰と中国の時代の到来をいち早く見抜き、BRICsを加えた新しい市場のトレンドをピタリ予想したのは、ジム・ロジャーズだが、商品相場の10年(18年~20年)サイクルでの底打ちが、2020年のコロナショックで大底を確認した可能性が高まってきた。

 ジム・ロジャーズは「株式と商品は歴史的に一定のサイクルで入れ替わる傾向がある。コロナショックで再び長い株式の時代から、商品の時代が目の前にやってきている」と前年から繰り返し述べている。

 昨年末には「今のトレンドで最も割安な金融商品は何かと聞かれたら、商品だと答える。主要国の株式はコロナショックで一時的に暴落したが、その後持ち直して高水準で推移している。一方で金や銀などの一部を除く商品価格は今、大きく下がっている。21年以降は、断然商品の方を買いたいと思っている。」と話している。

 著名投資家のデニス・ガートマンも2月に入り、「何かとても重大なことがコモディティ市場で起こっている。単なる安値からのリバウンド以上のことが何か起こっている。10年超続いた弱気相場が終わり、長く続く強気相場が始まったのだ。世界中の金融当局が極端に拡張的な政策を採り、これを後押ししている。各国中央銀行がGDPや人口の合理的期待値を大きく超えるペースで準備預金を拡大するなら、これは世界にとってインフレ的だ。」と述べている。


 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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