金は底値圏に接近中(ブラックアウト期間の波乱に注意)

著者:菊川 弘之
ブックマーク
 NY金(4月限)は、心理的節目1700ドルを割り込んできた。依然としてチャート上の底打ち確認はできないものの、過去の10年債利回り上昇に伴う金利上昇局面におけるNY金の下落率を当てはめると、1700ドル以下は底値圏との見方もとれるだろう。

 具体的に過去の金利上昇局面でのNY金下落率を当てはめてみると、8月4日終値(2039.8ドル)から18.1%安(バーナンキ・ショック時:終値ベース下落率)なら1670.59ドル。18.7%安(バーナンキ・ショック時:最大下落率)なら1657.9ドル。既に2018年安値~2020年8月までの上昇に対する38.2%押しを達成している。半値押しは1612.2ドル。

 NY金は1700ドル割れ局面から、出来高を伴った長い下ヒゲや、長大陽線などの底打ちパターンが出現すれば、安値売り込みを避け、買い場探し戦略が有効ではないか?

 円建て金に関しては、米金利上昇からの円安ドル高は下値支持要因にもなるだろう。

 3月6日(土)からFOMC前のブラックアウト期間(FOMCの前々週の土曜日からFOMC終了時まで、FOMCメンバーの金融政策に関する発言禁止)となる。過去、この期間は米国金利低下傾向がある。また、5日(金)に雇用統計が発表されるが、ここ数回の雇用統計を見ると、雇用統計後に一旦、米金利が頭を打つ傾向も確認できる。来週は10日に10年米国債、11日に30年米国債の入札がある。先週は、7年米国債入札が不調で、金利上昇、市場の波乱要因となった。仮に金利が急ピッチで上昇しても、FRB当局者が口先介入できない時間帯。また、来週中には追加の経済対策が可決する可能性が高く、これも金利高要因となる。

 今晩のアトランタ連銀総裁(ボスティック氏)講演で、強い牽制発言がなければ、ブラックアウト期間中の波乱気味の動きや仕掛けには要注意。

 ただし、米金利上昇からオーバーシュート気味に売られれば、株も金もV字反騰があり得るだろう。
 

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

https://www.nstrading.co.jp/

http://market-samurai.livedoor.biz/