[Vol.957] プラチナ市場、2020年の供給不足の要因とは!?

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。64.04ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,736.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年05月限は15,175元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年05月限は411.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで523.55ドル(前日比4.25ドル縮小)、円建てで1,855円(前日比17円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月18日 18時39分頃 先限)
6,090円/g 白金 4,235円/g
ゴム 269.6円/kg とうもろこし 29,930円/t

●NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「プラチナ市場、2020年の供給不足の要因とは!?」

前回は、「プラチナ市場、この45年間で最大の“供給不足”」として、プラチナ市場の、超長期的な需給バランスの推移を確認しました。

今回は、「プラチナ市場、2020年の供給不足の要因とは!?」として、プラチナの需要と供給、それぞれの変化について書きます。

需給バランスは、供給-需要、で計算します。つまり、需給バランスは、供給と需要の2つの要素でできています。新型コロナの感染拡大によって需要が落ち込んでいることは、容易に想像がつきますが、供給にも、需要と同じように想像を巡らす必要があります。

以下は、2019年と2020年の、プラチナの需要と供給の推移です。需要と供給、ともに減少しており、減少幅は、需要よりも供給の方が大きいことが分かります。

供給のメインである鉱山生産を国別で見ると、南アフリカで大規模な供給減少が起きました。コロナ禍の折、地下数千メートルでの作業が、より困難になったことに加え、同国の電力供給に支障が生じ、生産活動が停滞したことが要因とみられます。

また、需要の中で増加したカテゴリである“投資向け”では、北米と日本で大きく増加しました。データを参照したWPIC(World Platinum Investment Council)のレポートには、北米では、2020年の第4四半期、地金・コインの需要が目立って増加したが、その背景には、コロナ禍の折、個人の可処分所得が増えたことが挙げられる、という趣旨の記載があります。

日本では、金(ゴールド)に比べて価格が安いという点に注目が集まったことが、地金・コインの需要が増加した一因と考えられます。

2020年のプラチナの供給不足は、鉱山生産が大幅に減少し、投資需要の増加が目立ったことが大きな要因となり発生したと考えられます。

図:プラチナの需要と供給(2019年と2020年) 単位:千トロイオンス


出所:WPICのウェブサイトのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。