週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は先週比4.79ドル安の55.82ドル、ブレント原油は4.21ドル安の62.81ドルとなった。

 前週末の海外原油は小幅高。引き続き熱帯暴風雨「バリー」の接近に伴う供給懸念から買い先行となったが、IEAの月報で原油需要が2020年初めに日量2800万Bに減少、一方、米国の原油生産は増加するとの見通しが示されたことから上値を削る展開となった。

 先週は中国GDPが低い伸びとなり景気減速が意識されたことや、EIA統計において石油製品在庫の増加が重しとなり先週の上げ幅をなくす展開となった。15日は反落。国内市場は休場であったが、米中貿易摩擦により中国の4-6月期GDPが+6.2%と27年ぶりの低い水準となったことが嫌気された。また対ユーロでドル高が進んだことも上値を抑える要因となった。16日も続落。イランが弾道ミサイルの開発について協議する準備があると示唆したことで、米国とイランの対立が緩和するとの思惑からリスクオフの動きとなった。17日も続落。EIA統計において原油在庫の取り崩しが続いたが、概ね予想通りの結果であったことや製品在庫の増加が重しとなった。18日も続落。イラン革命防衛隊がホルムズ海峡で外国籍タンカーを拿捕したとの報は押し上げ要因となったものの、影響は限定的で、米中貿易摩擦の長期化による石油需要減退懸念が警戒される形となった。ただし、金曜の東京時間は米海軍がイランの無人機をホルムズ海峡で撃墜したとの報から安値からは大きく切り返して取引を終了した。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。