[Vol.971] 後戻りできない社会の変化と市場の常識

著者:吉田 哲
原油反発。米主要株価指数の反発などで。59.68ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,737.00ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年09月限は14,315元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年05月限は386.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで499.65ドル(前日比2.85ドル縮小)、円建てで1,782円(前日比23円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月7日 19時48分頃 先限)
6,131円/g 白金 4,349円/g
ゴム 248.2円/kg とうもろこし 31,840円/t

●NY金先物(期近) 日足 (単位:ドル/トロイオンス)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より
前回は、「不況時の株高・金高の具体例」として、“不況時の株高”と“株高・金高”を説明できる金融緩和実施時に、株と金が同時に上昇した具体例について書きました。

今回は、「後戻りできない社会の変化と市場の常識」として、社会の大規模な変化と、教科書通りにしばしば市場が動かないことの関係について書きます。

社会には、景気の良かった過去に執着する人に出会ったり、株価や金価格が教科書通りに動かない事象を目の当たりにしたりします。前回、前々回、これらを理解・説明するためには、“金融緩和”というフィルターが有用であると書きました。

このフィルターを用いることは、物事を一歩引いて見ること、つまり、物事を俯瞰する(ふかんする。物事を点で見ない。空から見下ろすようにしてさまざまな材料に同時に目を配る)意味を含んでいます。

現代社会で起きている事象は、昔のように単純ではありません。昔は、AならばB(例えば、株価上昇→好景気、有事→金価格上昇)と、事象を単純な命題で説明することができました。今は違います。景気の良かった過去の感覚・考え方では、今を正しく知り、将来を展望することはできません。

以下の通り、先進国の債務が増加して社会のゆがみが大きくなったり、世界のネット人口が増加して社会の分断が深まったりしていることは、社会を変化させている大きな要因とみられます。

人類の果てしない“富の追求”が、社会を後戻りできない大規模な変化に導き、社会の重要インフラの一つである“市場”が大きく変化した、と考えられます。そして、新型コロナの感染拡大が、変化のスピードを大きく加速させたと考えられます。

このような、後戻りできない大規模な社会の変化は、“不況でも株価が上昇する”、“株高でも金高が起きる”などの、教科書通りにならない(過去の常識を覆す)値動きの要因になっていると考えられます。

図:世界の人口、米国の債務証券残高、世界のインターネット人口の推移 ※2020年を100として指数化


出所:各種資料より筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。