[Vol.976] 金相場、同一テーマで方向性が切り替わる点に注目

著者:吉田 哲
原油反発。米主要株価指数の反発などで。61.23ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,742.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年09月限は13,625元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年05月限は397.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで564.5ドル(前日比26ドル縮小)、円建てで1,966円(前日比32円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月14日 18時54分頃 先限)
6,109円/g 白金 4,143円/g
ゴム 232.7円/kg とうもろこし 31,540円/t

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「金相場、同一テーマで方向性が切り替わる点に注目」

前回は、「この5カ月間、金相場は下落するも底割れしていない」として、この5カ月間の金相場の値動きについて書きました。

今回は、「金相場、同一テーマで方向性が切り替わる点に注目」として、金相場の変動要因の方向性が変化することについて書きます。

足元、金市場の周辺を見渡せば、複数の主要株価指数が記録的な高値水準維持していたり、ドル金利が上昇したりしています。これらは、金の重要テーマ、“代替資産(株の代わり)”および“代替通貨(ドルの代わり)”における、金相場の下落要因です。

金相場が複数のテーマから下落圧力を受けている中、節目である1,700ドルをキープできているのは、短期売買に主眼をおいた投資家たちの中に1,700ドルの節目まで下落したら買いたい(値ごろ拾いの新規買い、売りポジションの損切り買い)、と考えている人がいることや、金相場の6つの重要テーマの中の、短・中期のテーマの一つ“有事のムード”起因の上昇要因が底流していることが背景にあると、筆者は考えています。

金市場を取り巻くテーマは、短中期で3つ、中長期で3つ、合計6つあり、日々目にする関連するニュースは、6つのどれかに分類されると筆者は考えています。これらのテーマが金の価格動向の方向性に与える影響については、“1テーマ1方向”の原則はありません。つまり、状況に応じて、1つのテーマ内で関連する材料の影響力が相殺され、その結果、上昇要因にも下落要因にもなり得るわけです。

以下の図のとおり、2020年11月以降、ワクチンの流通拡大が世界に安心感をもたらしたことで、短中期的なテーマの一つ、“有事のムード”は下落要因と目されました(不安後退→逃避先需要減少)。しかし、2021年3月中旬以降は、ワクチンが流通しても感染者が増加し、不安感が強まったことで、当該テーマは上昇要因と目されます(不安拡大→逃避先需要増加)。

短期投資目的の投資家たちの下支えや、“有事のムード”における上昇圧力などが、金相場が一定の下落圧力を受け続ける中でも、節目の1,700ドルをキープできている要因であると、筆者は考えています。

図:足元の金市場の変動要因(イメージ)


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。