サウジは何十万バレル、増産するのか?

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)横ばい。株価の反発・ドル高など強弱の材料が入り混じっていることで。56.17ドル/バレル近辺で推移。

金下落。ドルインデックスの反発などで。1419.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。9月限は10695元/トン近辺で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)上昇。9月限は436.8元/バレル近辺で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで570.2ドル(前日比4.0ドル縮小)、円建てで1971円(前日比9円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(7月23日19時15分頃 先限)
 4923円/g 白金 2952円/g 原油 39670円/kl
ゴム 186.6円/kg とうもろこし 24630円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「サウジは何十万バレル、増産するのか?」

前回は「米シェール主要地区の生産効率が徐々に向上」として、米シェール主要地区の新規1油井あたりの原油生産量に注目しました。

油井の数を“量”とすれば、“質”を示す1つの指標となる、新規1油井あたりの原油生産量が徐々に増加していることを確認しました。

今回は「サウジは何万バレル、増産するのか?」として、OPECが月報で公表しているサウジの原油生産量をもとに、現在の減産における生産量の上限との差に注目します。

2018年12月の総会で合意し、2019年1月から始まった減産におけるサウジの生産量の上限は日量1031万1000バレルです。

2017年1月から2018年12月まで行われた減産での上限は日量1005万8000バレルでした。現在の減産の方が、上限が引き上がっている、つまり減産の負担が軽くなっていると言えます。

今月公表されたOPECの月報によれば、6月のサウジの原油生産量は日量981万3000バレルでした。

現在の生産量の上限と6月の生産量には、日量49万8000バレルの差があります。これは、およそ50万バレルの“増産枠”と言えます。

今後、サウジは6月に比べて、およそ50万バレル増産をしても“減産順守状態”を維持できるのです。(現在の減産は2020年3月末まで)

以前の減産のルールに比べて上限が引き上がったこと、そして昨年後半から急激に生産量を減少させてきたことによって、サウジは日量50万バレルもの増産枠を持っているのです。

以前の「米シェールだけでサウジに肉薄する日が来る?」で書きましたが、米シェールの生産増加が続く中、サウジにはシェア維持のため増産する動機があります。

この50万バレルはおそらく有効活用される、つまり、サウジがこの範囲で増産すると筆者は考えています。

図:サウジの原油生産量 単位:千バレル/日量
サウジの原油生産量

出所:OPECのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。