[Vol.977] コロナとの“共存”は金相場の超長期の下支え要因

著者:吉田 哲
原油反発。米主要株価指数の反発などで。62.74ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,747.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年09月限は13,730元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年06月限は414.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで554.65ドル(前日比4.25ドル縮小)、円建てで1,941円(前日比20円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月15日 19時18分頃 先限)
6,107円/g 白金 4,166円/g
ゴム 235.7円/kg とうもろこし 31,960円/t

●NY金先物(期近) 日足 (単位:ドル/トロイオンス)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「コロナとの“共存”は金相場の超長期の下支え要因」

前回は、「金相場、同一テーマで方向性が切り替わる点に注目」として、金相場の変動要因の方向性が変化することについて書きました。

今回は、「コロナとの“共存”は金相場の超長期の下支え要因」として、筆者が考える金市場における6つのテーマの1つ、“有事のムード”と新型コロナの関係について述べます。

足元、部分的には、患者数が減少したり、経済活性化推進を一時的に停止したりしている国や地域はあるものの、全体的には、新型コロナの患者数の増加と、主要国の経済の活性化策推進は、同時進行しているといってよいと思います。

筆者はこのような全体的な動きは、人類が新型コロナと“共存”することを選択しつつあることの証であると感じています。

人類は、新型コロナのパンデミック化後しばらく、“コロナの終息を目指す”ことを大目標とし、自粛をしたりワクチン開発をしたり金融緩和を行ったりしていました。

しかし、ワクチンを手にした現在、ワクチンがコロナをなかったことにしてくれる魔法の道具のようなイメージが広がり、“ワクチンがあるから経済活性化策を同時進行できる”といったムードが広がりつつあると、感じられます。

このような、“ワクチンがあるからコロナと共存できる”という考え方は、コロナの存在を一定程度、容認するものです。つまり、撲滅は目指さず、ワクチンを武器にうまく付き合うことに主眼が置かれ、終息宣言は目指さない方針であると考えられます。

コロナとうまく付き合う、コロナが身近にある生活を受け入れることは、一定程度の不安が常につきまとうことを受け入れることに他なりません。

撲滅を目指さず、終息宣言が出ない以上、数年でも数十年でも、大小あれどもコロナ起因の不安は続くわけです。このような“不安の底流”は、6つのテーマの一つ“有事のムード”を長期的に存在させるきっかけになり得ます。

目に見える、目立つ、戦争などの有事は、金相場を短期的に大暴騰させる要因になり得ますが、人類が選択しつつある“コロナとの共存(≒終息宣言の放棄や一定の不安の容認)”という選択は、息の長い、じわじわとした、金相場の下支え要因になり得ると考えられます。

コロナ起因の不安は、純金積立などの超長期的を前提とした運用はもとより、短期投資においても、現在のように節目で底堅く推移する値動きとなっている場合、ある程度、価格の下支え要因になっている可能性があるため、金相場に携わるすべての人にとって、要注目だと考えています。

図:6つのテーマが与える金相場への影響(イメージ)


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。