原油反落。米主要株価指数の反落などで。60.94ドル/バレル近辺で推移。
金反落。米10年債利回りの反発などで。1,786.85ドル/トロイオンス近辺で推移。
上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年09月限は13,990元/トン付近で推移。
上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年06月限は395.3元/バレル付近で推移。
金・プラチナの価格差、ドル建てで584.3ドル(前日比5.9ドル拡大)、円建てで2,037円(前日比22円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。
国内市場は以下のとおり。(4月22日 18時50分頃 先限)
金 6,215円/g 白金 4,178円/g
ゴム 236.0円/kg とうもろこし 33,280円/t
●NY原油先物(期近) 日足 単位:ドル/バレル
出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より
●本日のグラフ「金と原油、中東の中国傾斜は上昇要因」
前回は、「中国『一帯一路』は進行中」として、中東と中国の『一帯一路』の現状について書きました。
今回は、「金と原油、中東の中国傾斜は上昇要因」として、中東が中国寄りになった場合の、金と(ゴールド)と原油相場への影響について書きます。
目先、再来月に迫ったイランの大統領選挙と9月の米兵のアフガニスタン撤退によって、中東地域がどれだけ中国色を強めるか(相対的に米国色を弱めるか)が、同地域の混乱の度合いの大きさに関わると筆者は考えています。
同地域の混乱は、宗教上の混乱を深めたり、エネルギー安全保障上の障害が大きくなったり、大国間の覇権争いが激化したりするなど、さまざまな分野に幅広い不安をもたらします。こうした不安がきっかけで生じる「有事のムード」は、6つの金(ゴールド)相場の変動要因の一つと考えられます。
6つの金相場の変動要因については、以前の「 6つのテーマと金相場の“新常識”」で述べています。
また、以下の通り、主要産油国が集まる中東地域の交通の要衝である、ペルシャ湾とオマーン湾をつなぐ「ホルムズ海峡」は、北側のイランと南側のオマーン(飛び地)に挟まれています。
2国とも、中国に港湾の利用権を与えていると報じられていることから、これまでイランの専売特許だった“ホルムズ海峡封鎖の示唆”が、近い将来、中国によってなされる可能性もゼロではなくなったと、言えるかもしれません。
港湾の利権を有する中国が、ホルムズ海峡という水道を、イランとオマーンという蛇口で開閉できるようになった場合、中国の思惑が原油相場の大きな変動要因の一つになる可能性があると考えられます。
中国は世界最大級の石油消費国ですので、原油価格が下落すれば、資源の調達コストの低下というメリットが生じますが、上昇した場合でも、自らが精製した石油製品の販売価格上昇、自国の原油市場(上海期貨交易所)の売買活性化などのメリットが生じます。
中国自ら「蛇口を閉じて」原油価格を上昇させた場合、油田の権益を持つ世界中の産油国あるいはエネルギー企業が恩恵を享受し、それらの国・企業の中に「中国によって恩恵をもたらされた」という意識が芽生え、その結果、世界における中国の地位が向上することが考えられます。
中国は、中東進出を『一帯一路』構想の延長にとどまらず、エネルギー価格の主導権獲得や世界中の産油国・エネルギー企業を配下に収めることを目指す施策として位置づけていると、筆者は考えています。
「英国海軍を出し抜いた日本国籍のタンカー」で述べたとおり、1950年前後、イランの石油を事実上独り占めし、同国に大きな影響力を持っていたのは英国でした。その後、イランから重要な情報を入手し、同時多発テロ(2001年9月11日)の首謀者を含め多くのアルカイダ勢力やタリバン勢力を掃討したのは米国でした。そして今、イランに急接近している大国は中国です。
6月のイランの大統領選挙と9月の米兵のアフガニスタン撤退は、イランを中心に中東地域の中国色が強まる(相対的に米国色が弱まる)要因になり得ると筆者は考えています。この時に生じる混乱や変化は、金(ゴールド)相場にも原油相場にも、上昇圧力をかける可能性があると考えられます。イランをめぐる情勢から、目が離せません。
図:中東の中国傾斜が進んだ場合の筆者のイメージ
出所:筆者作成
金反落。米10年債利回りの反発などで。1,786.85ドル/トロイオンス近辺で推移。
上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年09月限は13,990元/トン付近で推移。
上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年06月限は395.3元/バレル付近で推移。
金・プラチナの価格差、ドル建てで584.3ドル(前日比5.9ドル拡大)、円建てで2,037円(前日比22円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。
国内市場は以下のとおり。(4月22日 18時50分頃 先限)
金 6,215円/g 白金 4,178円/g
ゴム 236.0円/kg とうもろこし 33,280円/t
●NY原油先物(期近) 日足 単位:ドル/バレル
出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より
●本日のグラフ「金と原油、中東の中国傾斜は上昇要因」
前回は、「中国『一帯一路』は進行中」として、中東と中国の『一帯一路』の現状について書きました。
今回は、「金と原油、中東の中国傾斜は上昇要因」として、中東が中国寄りになった場合の、金と(ゴールド)と原油相場への影響について書きます。
目先、再来月に迫ったイランの大統領選挙と9月の米兵のアフガニスタン撤退によって、中東地域がどれだけ中国色を強めるか(相対的に米国色を弱めるか)が、同地域の混乱の度合いの大きさに関わると筆者は考えています。
同地域の混乱は、宗教上の混乱を深めたり、エネルギー安全保障上の障害が大きくなったり、大国間の覇権争いが激化したりするなど、さまざまな分野に幅広い不安をもたらします。こうした不安がきっかけで生じる「有事のムード」は、6つの金(ゴールド)相場の変動要因の一つと考えられます。
6つの金相場の変動要因については、以前の「 6つのテーマと金相場の“新常識”」で述べています。
また、以下の通り、主要産油国が集まる中東地域の交通の要衝である、ペルシャ湾とオマーン湾をつなぐ「ホルムズ海峡」は、北側のイランと南側のオマーン(飛び地)に挟まれています。
2国とも、中国に港湾の利用権を与えていると報じられていることから、これまでイランの専売特許だった“ホルムズ海峡封鎖の示唆”が、近い将来、中国によってなされる可能性もゼロではなくなったと、言えるかもしれません。
港湾の利権を有する中国が、ホルムズ海峡という水道を、イランとオマーンという蛇口で開閉できるようになった場合、中国の思惑が原油相場の大きな変動要因の一つになる可能性があると考えられます。
中国は世界最大級の石油消費国ですので、原油価格が下落すれば、資源の調達コストの低下というメリットが生じますが、上昇した場合でも、自らが精製した石油製品の販売価格上昇、自国の原油市場(上海期貨交易所)の売買活性化などのメリットが生じます。
中国自ら「蛇口を閉じて」原油価格を上昇させた場合、油田の権益を持つ世界中の産油国あるいはエネルギー企業が恩恵を享受し、それらの国・企業の中に「中国によって恩恵をもたらされた」という意識が芽生え、その結果、世界における中国の地位が向上することが考えられます。
中国は、中東進出を『一帯一路』構想の延長にとどまらず、エネルギー価格の主導権獲得や世界中の産油国・エネルギー企業を配下に収めることを目指す施策として位置づけていると、筆者は考えています。
「英国海軍を出し抜いた日本国籍のタンカー」で述べたとおり、1950年前後、イランの石油を事実上独り占めし、同国に大きな影響力を持っていたのは英国でした。その後、イランから重要な情報を入手し、同時多発テロ(2001年9月11日)の首謀者を含め多くのアルカイダ勢力やタリバン勢力を掃討したのは米国でした。そして今、イランに急接近している大国は中国です。
6月のイランの大統領選挙と9月の米兵のアフガニスタン撤退は、イランを中心に中東地域の中国色が強まる(相対的に米国色が弱まる)要因になり得ると筆者は考えています。この時に生じる混乱や変化は、金(ゴールド)相場にも原油相場にも、上昇圧力をかける可能性があると考えられます。イランをめぐる情勢から、目が離せません。
図:中東の中国傾斜が進んだ場合の筆者のイメージ
出所:筆者作成