[Vol.989] 鶏肉価格高と飼料価格高が同時進行

著者:吉田 哲
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原油反落。新型コロナの感染拡大などで。64.56ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,821.05ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年09月限は14,445元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年06月限は425.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで564.9ドル(前日比6.8ドル拡大)、円建てで2,007円(前日比13円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月7日 19時7分頃 先限)
6,390円/g 白金 4,383円/g
ゴム 253.2円/kg とうもろこし 37,310円/t

●シカゴ大豆先物(期近) 月足  単位:ドル/ブッシェル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「鶏肉価格高と飼料価格高が同時進行」

前回は、「マヨネーズ、サラダ油、マーガリン価格が上昇」として、今年に入り相次いで公表された植物油関連の食品価格の値上げと、それに深い関りがある植物油価格の動向について書きました。

今回は、「鶏肉価格高と飼料価格高が同時進行」として、各種食肉小売価格と配合飼料価格の動向について書きます。

前回は、マヨネーズ、サラダ油、マーガリンといった、豊かな食生活を送る上で欠かせない食品の小売価格が、今後上昇する可能性があることについて書きました。一方、実はすでに、コモディティ価格高が、わたしたちの食卓を襲い始めている例があります。各種食肉と鶏卵です。

総務省統計局の小売物価統計調査をもとに計算した、日本の人口15万人以上の都市(特別区を含む81都市)における、各種食肉と鶏卵の小売価格(平均)の騰落率(2020年6月と2021年3月を比較)を見ると、鶏肉の価格上昇が目立ったことがわかります(+2.9% 132.78円→136.57円)。

その他、豚肉(国産バラ)(+1.0% 238.28円→240.56円)、牛肉(国産)(+0.2% 843.48円→845.44円)も値上がりしています。また、鶏卵も上昇しています(+0.6% 217.89円→219.16円)。※各種食肉100gあたりの税込小売価格

食肉と鶏卵価格の上昇の要因は、穀物価格の上昇が挙げられます。穀物は、主に家畜のエサに用いられます。穀物価格の上昇が、エサのコストを上昇させ、その結果、食肉と鶏卵価格が上昇していると、考えられます。

以下は、鶏肉小売価格とエサとなる配合飼料価格の推移です。鶏肉価格(結果)が配合飼料価格(原因)を先導しているようにみえますが、実際には、配合飼料価格は3カ月に1回、改訂されるため、配合飼料価格を決定する最も重要な根拠である海外の国際指標(シカゴトウモロコシ先物価格)と、鶏肉価格はこの間、ほぼ連動するように動きました。

一部の食肉では価格上昇が起きており、そして今後、植物油関連の食品でも、本格的な価格上昇が起きる可能性があります。穀物価格、それに関わりが深い食用油価格は、なぜ上昇しているのでしょうか。そして今後、どうなりそうなのでしょうか。次回以降、筆者の考えを書きます。

図:鶏肉小売価格と配合飼料価格(推定)の推移


出所:総務省統計局 小売物価統計調査およびJA全農のプレスリリースなどより筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。