[Vol.993] 相次ぐ、史上最高値更新。もはや「お祭り騒ぎ」!?

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。65.43ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反落などで。1,816.95ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。21年09月限は13,870元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年06月限は423.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで597.7ドル(前日比9.65ドル縮小)、円建てで2,119円(前日比33円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月13日 13時15分頃 先限)
6,409円/g 白金 4,290円/g
ゴム 250.9円/kg とうもろこし 36,160円/t

●大阪パラジウム先物(期先) 月足  単位:円/グラム


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「相次ぐ、史上最高値更新。もはや「お祭り騒ぎ」!?」

前回は、「穀物相場でパラダイムシフト発生!?」として、長期的視点で、穀物に新しい需要が生まれる可能性について書きました。

今回は、「相次ぐ、史上最高値更新。もはや「お祭り騒ぎ」!?」として、今月に入り、各種コモディティ価格が史上最高値圏で推移していることについて書きます。

もはや「お祭り騒ぎ」と言っても過言ではありません。足元、コモディティ(商品)市場は、史上最高値更新に沸いています。

先週、筆者が日ごろから注目している33のコモディティ銘柄、10の株価指数、8つの通貨、3つの暗号資産、2つのその他銘柄の、合計56銘柄のうち、10銘柄が、史上最高値を更新しました。また、7銘柄が、3月以降につけた史上最高値水準を維持しました。

例えば、木材の国際価格(シカゴマーカンタイル取引所(CME)で取引されている木材先物価格)は、低金利を背景に米国で住宅需要が増加していること、主要生産地で害虫が発生し、生産が減少する懸念があることなどを背景に、2021年5月6日に、史上初の1,600ドル(1,000ボードフィート≒2.36 立方メートルあたり)をつけました。木材価格の上昇は、オイルショックならぬ「ウッドショック」と呼ばれています。

5月7日には、労働節で休場だった中国市場がオープンし、需要増加観測から買いが優勢になった銅の国際価格(ロンドン金属取引所(LME)で取引されている銅価格)が初の1万ドル超え(1トンあたり)、また、鉄鉱石の国際価格(鉄含有量62%以上で中国北部向けの鉄鉱石価格)が初の200ドル超え(1トンあたり)を演じました。銅も鉄鉱石も、中国が主要な消費国です。

さらに、以前の「なぜ穀物と食用油価格は上昇しているのか?」で取り上げた植物油が上値を伸ばし、菜種油が初の1,000カナダドル(1トンあたり)、パーム油が初の4,600リンギ(1トンあたり)に達しました。

同日はこれらにとどまらず、主要株価指数であるNYダウとS&P500指数が、それぞれ史上最高値を更新したほか、世界的な「脱炭素」ブームの中、温室効果ガスを排出せざるを得ない国や企業が、そうでない国や企業との間で炭素の排出権を融通する需要が高まる観測から、排出権の国際価格(インターコンチネンタル取引所(ICE)EUで取引されている炭素排出権先物価格)が、初の50ユーロをつけました。

また、先週、3月以降につけた史上最高値水準を維持した銘柄もありました。植物油の大豆油の他、ナスダックやドイツDAXといった主要株価指数、ビットコインやリップルといった暗号資産(仮想通貨)、そして、ハイテク機器に重用され、生産量が比較的少ないレアメタルの一種で、白金族(プラチナとパラジウムと性質が似ている)ロジウムとイリジウムの7銘柄です。

足元、56の主要銘柄のうち、17銘柄が史上最高値を更新したり同水準を維持したりしています。まるで「お祭り騒ぎ」です。次回以降、これらの銘柄の価格推移に注目します。

図:先週、史上最高値をつけた銘柄 ※終値ベース


出所:ブルームバーグのデータおよび各種報道をもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。