金相場、短期的な買われ過ぎ感も、トレンドの勢いは強い

著者:菊川 弘之
 NY金(6月限)は、長らく抵抗となっていた2020年8月の史上最高値を起点とした下降トレンドと重なる200日移動平均線を上抜いてきた。

 商品市場全面高に伴うインフレ懸念の高まりにも関わらず、米長期金利の上値は重く、出口戦略やテーパリングは意識されているものの、米長期金利上昇を背景としたドル買い・金売りは、3月~4月でおおむね、織り込み済みとなった格好だ。4月FOMC議事録を受けて、年明け早々にもテーパリングが始まるのではないかとの観測もあるが、2013年のバーナンキショック時では、実際のテーパリングが開始してからは、金利は反落。「知ったら終い」で低下傾向を辿った。

 年初からの金の下げ要因は、

 1)米長期金利上昇に伴うドル高
 2)米国との景況感の差に伴うユーロ安
 3)暗号資産への資金流出(金ETF残高減少)

 などだったが、3月~4月にかけての1700ドル割れで、金利上昇に伴うドル高・金安は、かなりの部分織り込まれた。ユーロ圏もワクチン接種の進展に伴い、6月ECB理事会に向けて出口戦略への移行も意識され、ユーロドルも堅調推移を見せている。春先の金の下落局面では、中国やインドなどの実需買いが下値を支えた。インドは、3月の金輸入量が前年同月比471%増の160トンと、過去最高となった。輸入税の引き下げや価格下落を受け、小売部門が積極的に購入した。中国ではコロナで大きく落ち込んでいた婚礼用消費が「報復消費」と呼ばれる急拡大。今年は共産党創立100周年記念の年であり、10月の建国記念日の7連休(10/1~7)には、多くの結婚式や両親の誕生記念日(60歳・70歳・80歳の節目を祝う)が予定されている。

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

日産証券主席アナリスト / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。
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